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ファーウェイ問題は、スパイ活動よりサイバーテロが怖い

サイバー攻撃が安全保障上の脅威

 米中貿易戦争におけるファーウェイ排除の報道を見ても、私たちは何が大問題なのかピンとこないところがあります。「スパイ活動」は足がつきやすく、ブロックチェーン技術の応用である程度は防御が可能です。 スパイ 安全保障上もっとも大きな問題なのは「サイバー攻撃」のほうです。それは5Gネットワークの時代になると危険度を増します。だから今、問題視されているのです。  私たちは現在4Gの世界にいます。スマホでもサクサク動画が楽しめますし、友達とSNSを使って連絡を取り合い、「Siri」や「Alexa」といった音声アシストも役に立つようになりました。これが4Gです。5Gだとアップリンクが早く、情報を早く盗み取れますが、一番怖いのはリモートコントロールです。スパイチップを埋め込めれば、外部からシステムを意図的に「機能不全」に陥らせることも可能なのです。  5Gの世界は自動運転、自動認識、自動制御、遠隔制御の世界です。例えば、農業の最先端技術では、農作物の温度や写真などから生育状況を察知し、必要な肥料や農薬などを自動散布するドローン技術がすでにあります。法律や許認可の問題などの制度改革を待たなければなりませんが、人工衛星、通信機能などを使って遠隔地でも制御でき、自動で農作物を作れるような社会になります。  また、建築現場では破損した建物の屋根の下などを飛び回って、ほぼ正確な図面をつくるドローンも存在します。自力で急斜面や川、岩だらけの道や氷の上も歩いてモノを運ぶロボットもすでに開発されています。そして、自動車の自動運転技術も実用化に向けて動き出しています。  遠隔操作で動くものが増え、無人化も進み、キャッシュレスも進みます。顔認識技術も進歩し、監視カメラ画像と衛星写真で追跡も可能になります。法律の整備や帯域の問題など解決すべき問題はたくさんありますが、5Gの未来はそこまできています。  埋め込んだチップでシステム全体を機能不全に陥らせることは比較的容易です。キャッシュレス社会でシステム・クラッシュが起きれば、買い物もできなくなり、生産装置や自動運転を停止させるなど大混乱が生じます。このサイバーテロを米国などの先進国は恐れています。鉄道や航空機など民間企業が運営しているシステムがとても心配です。トランプ大統領が米中貿易戦争を起こす理由がこれでおわかりいただけたでしょうか。
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対処する人員と供給能力の問題
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自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う

日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる……

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