自衛隊の重要な役割が教科書に掲載されたことの意味合い
小笠原理恵「自衛隊ができない100のこと 59」
昭和20年の敗戦後、我が国はGHQによる6年7か月28日の占領統治を受けました。その間、行政権や外交権など様々な権利を制限され、旧日本軍は解体。新聞は記事の検閲を受け、占領統治下でおきた略奪や強姦などの犯罪を報道することは禁じられていました。戦争に負けて食料や生活必需品の生産能力や輸送能力を失い、庶民が生活に困窮するのは、敵国の攻撃によるものです。終戦直後の日本人はそう考えていました。
しかし、占領統治下でWGIP(War Guilt Information Program)と呼ばれる日本人の心深くに「戦争についての罪悪感」を植えつける宣伝計画が徹底されました。WGIP(War Guilt Information Program)についての代表的な書籍である江藤淳氏の『閉された言語空間 -占領軍の検閲と戦後日本』(1989年刊行)の分析が適確です。戦争は「軍国主義者」の暴走で起こり国民は犠牲者だとする刷り込みがWGIPにより繰り返し行われました。
その結果、日本と連合国との戦争が、現実には存在しなかった「軍国主義者」と「国民」との戦いにすり替えられました。日本人の不満は二度と再び米国に向けられることなく、もっぱら「軍国主義者」と旧秩序の破壊に向けられるに違いないという指摘通りになりました。
北朝鮮からミサイルが発射され、国民の生命と財産が危険にさらされても我が国のメディアは政府が悪いと報道します。外国からのミサイル発射があればミサイルを撃った相手国への抗議の報道があるべきです。今もこのWGIPの考え方が深く残る我が国では、国内に抗議が起こります。国家は国民の敵だという刷り込みを受けた結果、国旗や国歌を憎悪をもする人達もいます。国の自衛権ですら危険思想と感じるほどの強い刷り込みです。「憲法改正すると自衛隊が戦争を始めるぞ!」といった論調はまさにその当時のプロパガンダそのものです。
新時代令和が始まりました。我が国の領海に野心を持つ国の公船が連日、領海近くに現れる不安定な情勢です。自衛のために我が国が必要な防衛力を持とうとすると必ず起こる強い反発。今もGHQが植えつけたWGIPの呪いは根強く残っています。でも、戦後70年も過ぎているのです。いい加減、目を覚まさなくてはなりません。安倍政権になってその動きがやっと教科書で始まりました!
占領統治時代、GHQが行ったWGIPとは?
北朝鮮の度重なる挑発があっても政府批判を繰り返す日本メディア
おがさわら・りえ◎国防ジャーナリスト、自衛官守る会代表。著書に『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』(扶桑社新書)。『月刊Hanada』『正論』『WiLL』『夕刊フジ』等にも寄稿する。雅号・静苑。@riekabot
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『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』 日本の安全保障を担う自衛隊員が、理不尽な環境で日々の激務に耐え忍んでいる…… |
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