更新日:2019年09月27日 15:36
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消費税10%に過半数が反対なのに…自民党が勝った理由は?

過半数が増税に反対。自民党が勝った理由

 何しろ今回の選挙は、「デフレから脱却もしていないにもかかわらず、消費税を上げて景気を悪くする自民党と公明党」と、「増税しないと言いながら、政権を獲得したら消費増税を決定し、平気で公約を破った民主党の残党」との戦いだった。「アメリカのように減税に踏み切り、景気回復、デフレ脱却を最優先にする」という選択肢は示されなかった。  NHKの出口調査によれば、消費税率が10月に引き上げられることについて「賛成」と答えた人は43%であったのに対して、「反対」は57%にのぼった。過半数が増税に反対なのに、増税を掲げた自民党がなぜ勝利したのか。  出口調査によれば、増税「反対」と答えた有権者のうち、自民党に投票したと答えた人は29%、立憲民主党に投票した人が21%などとなっている。  一方、「棄権」を選んだ有権者は過半数を超えた。総務省が7月22日に発表した参院選の投票率(選挙区)は48.8%だった。過去最低だった1995年参院選の44.52%に次ぐ低水準で、24年ぶりに50%を割り込んだのだ。 「より悪い」と「最悪」の選択になれば、「より悪い」を選ばざるを得ないが、景気を悪化させる消費増税には反対だ。  ところが、今回の選挙で示された、こうした「民意」を理解しない政治家もいる。  例えば、麻生太郎財務相は23日の記者会見で「消費税率の引き上げは最初から申し上げてきた。その意味では信任をいただいたと思う」と述べた。  いや、「増税」を信任したわけではないのだ。しかし、こうした「誤解」がまかり通ると、日本の景気はさらに悪化していくことになるだろう。
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

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