更新日:2023年03月28日 09:38
ニュース

台湾を独立国家と認定。米台軍事同盟復活か/江崎道朗

台湾

台湾は5月27~31日にかけて、中国からの侵攻を想定した軍事演習「漢光35号」を実施。3000人もの軍人を動員し、主力戦闘機F16や多連装自走ロケット砲、自走迫撃砲などを使った大規模で本格的な実弾演習となった(写真は蔡英文中華民国総統の公式Twitterより)

台湾を独立国家と認定。米台軍事同盟復活か

 香港「流血」デモが世界的に注目されているが、不穏なのは香港だけではない。その隣の台湾に対して習近平国家主席率いる中国共産党政権(以下、「中国」と略)が軍事的圧力を強めているのだ。  近い将来、中国軍による台湾攻撃も想定されることから、台湾は5月27日から31日にかけての5日間、中国からの侵攻を想定した軍事演習「漢光35号」を実施した。戦闘機や攻撃ヘリ、地対空ミサイルまで参加させたこの大規模軍事演習に米軍将校も多数参加したのではないか、という噂が飛び交っている。  なにしろD・トランプ共和党政権は、歴代アメリカ政府の「親中」政策を全面的に見直し、台湾との関係強化を進めているからだ。  アメリカと中国、台湾との関係は複雑だ。  東西冷戦下、ソ連の脅威に対抗するためアメリカのR・ニクソン大統領は、中国を西側諸国に引き込もうと、1971年に訪中を表明(「ニクソン・ショック」と呼ぶ)。そして1979年、アメリカは中国を「中国を代表する国家」として承認し、台湾との国交はなくなった。これが現在の中国の台頭へと繫がっていく。  アメリカは「米華共同防衛条約」に代わって「台湾関係法」を制定、有償で武器などを提供することで台湾との実質的な関係を維持しようとしたものの、国際的には中国を優遇してきた。ほかの西側諸国も次々に中国と国交を樹立し、台湾は国際的に孤立していく。
次のページ right-delta
中国は戦略的競争相手。米台間の軍事交流が復活
1
2
(えざき・みちお)1962年、東京都生まれ。九州大学文学部哲学科卒業後、石原慎太郎衆議院議員の政策担当秘書など、複数の国会議員政策スタッフを務め、安全保障やインテリジェンス、近現代史研究に従事。主な著書に『知りたくないではすまされない』(KADOKAWA)、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』『朝鮮戦争と日本・台湾「侵略」工作』『緒方竹虎と日本のインテリジェンス』(いずれもPHP新書)、『日本外務省はソ連の対米工作を知っていた』『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』(いずれも扶桑社)ほか多数。公式サイト、ツイッター@ezakimichio

インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保

経済的安全をいかに守るか?


経済的安全をいかに守るか?実践的な入門書が発売!

 ’17年、トランプ米大統領は中国を競争相手とみなす「国家安全保障戦略」を策定し、中国に貿易戦争を仕掛けた。日本は「米中対立」の狭間にありながら、明確な戦略を持ち合わせていない。そもそも中国を「脅威」だと明言すらしていないのだ。

 日本の経済安全保障を確立するためには、国際情勢を正確に分析し、時代に即した戦略立案が喫緊の課題である。江崎氏の最新刊『インテリジェンスで読み解く 米中と経済安保』は、公刊情報を読み解くことで日本のあるべき「対中戦略」「経済安全保障」について独自の視座を提供している。江崎氏の正鵠を射た分析で、インテリジェンスに関する実践的な入門書として必読の一冊と言えよう。

記事一覧へ
おすすめ記事