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東京五輪中の「首都高一律1000円値上げ」は、やりすぎじゃないのか?

 一律上乗せではなく、利用距離に応じた割増、たとえば普通車以下の料金を大型車(1.65倍)の水準に引き上げれば、それほどの交通集中は避けられるはずだ。いったいなぜ一律上乗せ案だけが検討されたのか。その点を東京都に聞いてみたところ、意外な答えが返ってきた。 「現在、首都高は短距離利用がかなりの割合を占めています。マイカーの料金を一律上乗せすることで、短距離も含め、首都高の利用そのものを大幅に減らしたいという狙いです」

「東京2020 大会における首都高速道路の料金施策に関する方針(案)」より

 一部出口に交通が集中するのでは?という問いに対しては、「そうならないよう、他の対策も含めて、総合的に交通需要そのものを減らしたいと考えています」。  それがうまくいけばいいが、7月24・26両日の交通規制試行でも、わずか7%の交通量減で、首都高はスイスイだった。都心部の一般道も普段より空いていて走りやすかった。あれよりさらに大幅に交通量を減らす必要があるのだろうか? そもそも大会組織委の「首都高の交通量最大30%減」という目標そのものが過大ではないか?  三環状の開通で、首都圏のクルマの流れは、以前に比べると非常に良くなっている。なのにここまでやる必要があるのか? それによって、かえって周辺部の一般道で混乱が起きるのではないか? 大会期間中のマイカーの首都高一律1000円上乗せは、“牛刀をもって鶏を割く”にならないか?  私としては、普通車以下の料金を大型車と同等にする程度が、薄く広く効果が発揮でき、ちょうどいいのではないかと考えているが、都は当初から一律上乗せしか頭になく、実現の見込みはない。 取材・文/清水草一
1962年東京生まれ。慶大法卒。編集者を経てフリーライター。『そのフェラーリください!!』をはじめとするお笑いフェラーリ文学のほか、『首都高速の謎』『高速道路の謎』などの著作で道路交通ジャーナリストとしても活動中
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