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死刑囚・林眞須美の夫「21年目の告白」 和歌山毒物混入カレー事件

証拠ナシ、自白ナシ、動機ナシ……

「仮にね、今、眞須美が出所しても僕は抱きしめられないかもしれへん。あれから21年、あいつも体が大きくなって、腰に私の手が回りきる自信がないですわ(笑)。」  こう話すのは林健治氏(74)。’98年7月25日に発生した「和歌山毒物混入カレー事件」の犯人として’09年に最高裁で死刑判決を言い渡された林眞須美(58)の夫だ。
死刑囚・林眞須美の夫と息子「21年目の告白」

死刑囚・林眞須美の夫、林健治氏

 ご記憶の人も多いだろうが、同事件の舞台となったのは地区の夏祭りだった。そこで振舞われたカレーにヒ素が混入。口にした67人が急性ヒ素中毒となり、うち4人が命を奪われた。直後から前代未聞の無差別殺傷事件として報道が過熱。そのなかでクローズアップされたのが林眞須美だった。  当日のカレー鍋の見張り番だったうえに、不審な行動をとっていたという目撃証言も浮上。夫らにヒ素を盛って保険金を不正請求していた“前科”も判明して、事件から約2か月後に逮捕されたのだ。  このとき健治氏の関与も疑われたが、事件と直接関係のない保険金詐欺の疑いで逮捕・起訴。’02年に懲役6年の実刑判決が確定し、’05年に刑期を終えている。  その健治氏がなぜ今、眞須美死刑囚への思いを口にしているのか? それは10月で逮捕から21年を迎えた今も、事件が謎に包まれているからにほかならない。決め手となる物的証拠もなければ自白もなし。動機も明らかにされぬまま、状況証拠だけで有罪が言い渡されたのだ。そのため、林眞須美を含む家族は一貫して犯行を否認。現在、裁判のやり直しを求めて再審請求を行っている。
林眞須美死刑囚

林眞須美死刑囚

死刑囚・林眞須美の夫と息子「21年目の告白」

健治氏:何枚も送りつけられてきた離婚届も、最近ではまったくこんようになった。今は眞須美に会いに、頻繁に大阪(拘置所)に行っとる。眞須美が言うんよ。「あんた、体には気をつけなあかんよ。生きてるうちにもう一回証言台に立ってもらうことになるかもしれへんから」と。 ――解決したはずの事件がまた動きだす……そう匂わせながら死刑囚の夫は10月某日、小誌(週刊SPA!)記者らを和歌山市内の自宅に招き入れた。事件当時は賭け麻雀や保険金詐欺で生計を立てるヤクザな生活がクローズアップされた健治氏。「競輪で稼いだ札束をポリバケツに入れて持って帰ってきてな、三女に上からパーッと振りかけて写真撮ってなぁ」などと振り返るが、現在は生活保護を受給中だ。やや覇気のない声で事件を語り始めた。 健治氏:まず、はじめに言っておきたいことがあるんや。それは、私は保険金詐欺では逮捕されたけど、カレー事件に関しては一貫して否認しているということ。今でも「カレー事件の遺族の方に言いたいことは?」と聞かれることもあるけど、やっていないことやから謝罪のしようがない。  もちろん、私が眞須美の無実を信じている根拠はいくつかある。そのうちの一つが検察の取り調べ。検察は、私を「眞須美に毒を盛られた被害者」に仕立てあげようとしたんや。判決では眞須美と共謀して1億6000万円の保険金を詐取したいうことやったけど、実際に騙し取った総額は8億円にのぼる。懲役6年やったけど、4年7か月で出てこれた。不自然に短すぎると思わん? 私が毒を盛られた被害者にされたからですよ。  取り調べは本当ヒドいもんやった。検察は「眞須美はオトせない。頼むから眞須美にヒ素を飲まされたと書いてくれ。そうしたら八王子の医療刑務所に入れてやる」と、あの手この手で私を引き込もうとしてきた。本当に眞須美が犯人という確証があれば、こんなやり取りはせんやろ。  私は保険金をもらうために自分でヒ素を飲んだんです。飲んだのは22回(検察発表では林眞須美の“毒盛り”は23回)。何度かは、量が多すぎて死線を彷徨ったわ(笑)。ヒ素いうのは、素人が扱って量を見誤ると死に直結する。私はシロアリ駆除業を営んでいたから、ある程度の知識はあった。仮に、眞須美が私にヒ素を盛っていたら私はもうこの世にいないはずや。
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殺人犯と前科者の子供という十字架
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