更新日:2023年04月25日 00:31
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令和初の恩赦、実際に恩恵を受ける人とは? 法学者に聞く

英仏では適切な政治判断が行われている

恩赦 ちなみに恩赦は日本だけでなく、世界的に古くから行われているもの。アメリカでは大統領が恩赦の権限を有していて、2018年度に承認した恩赦は、特赦6人、減刑4人。また、フランスでは、伝統的に大統領選の後に大規模な恩赦が行われていたが、2007年の大統領選後には行われなくなった。イギリスでも1930年代以降は一律の恩赦は行われていない。  こういった世界の状況の中で、「日本は、今の時代にあった恩赦をすべき」と石塚氏は言う。 「喫緊の課題である、『刑務所の高齢化』を改善するため恩赦を施行すべき。万引きなどの軽微な犯罪を繰り返して実刑になってしまう高齢者が増えていて、それが刑務所の負担になっています。また2003年から厳罰化の風が吹いて、無期懲役の判決が増えたため、無期懲役の人達が1800人近くもいるわけです。これによって、70歳以上の高齢者の受刑者が急激に増えています。こんな国はほかにないでしょう。  政令恩赦を今の時代に沿ってやるとすれならば、“高齢の受刑者”と“高齢の無期懲役の受刑者”で長く服役しているから被害者感情も一定程度まで鎮静化したような人たちに対して恩赦をすべき。そのような長い時間の中で罪を償ったと思える人たちを、減刑したり、仮釈放にしてもいいのではないでしょうか」  問題は、十分な議論を行わずに惰性で続けていることにある。 「この機会に恩赦を“政策が失敗した時の直す方法のひとつ”として、もう一度認識してほしいですね。そのうえで情報公開を広く行って、是非を問うのが必要になってくるでしょう」 <取材・文/すずきおさむし>
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