2000年代の香水をほぼ網羅してきた香水マニアが語る
無名の男性シンガーソングライター、瑛人による楽曲「香水」が異例のヒットをとげている。4月にリリースされたこの曲は、様々な音楽ストリーミングサービスで再生回数を伸ばしてチャートを席巻中。ユーチューブに投稿されたミュージックビデオの再生回数は約8,400万回を突破し(8月17日現在)、人気が爆発している。
失恋ソングでもある「香水」だが、元カノが“ドルチェ&ガッバーナ”の香水をつけていて、その香りのせいで付き合っていたときの記憶を思い出してしまうという内容だ。歌詞で“ドルチェ&ガッバーナの香水”が何度も登場し、耳に残ることから話題になっている。
ここで疑問なのだが、ドルチェ&ガッバーナの香水っていまだに売れているのだろうか? ついでにここ最近の香水事情もなんとなくだけど知りたい……。ということで、フレグランス専門サイト「メゾフレ」を運営している、たなたろさん(
@scententia)に聞いてみた。
ドルガバには殿堂入りを果たしたレジェンドな香水がある
ドルチェ&ガッバーナにはいろいろな香水が揃っているが、「ドルガバといえばコレ!」という代表的な香水はどれなのだろうか?
「
一番知名度があるのは『ライトブルー』でしょう。
おそらくドルガバ史上で最も売れている香りのひとつですね。2001年発売されてから15年経った
2016年に、香水界のアカデミー賞と言われるFifi賞で“殿堂入り”の称号を与えられています。この香水が受けた理由として“とっつきやすさ”が挙げられます。
青リンゴのフルーティな香りなのですが、花の香りがいくつか添えられており、やや可愛らしさもあります。
男女ともに使いやすい香りです」
DOLCE & GABBANA ライトブルー オードトワレ フローラル フルーティ 単品 25mL 2849円
カップルでシェアして使っている&使っていた人も多いのだとか。元々は女性用として作られた香りだが、発売後は男性からの人気が高まった。
「
『ライトブルー』が売れているもうひとつの理由は価格帯です。
価格が1000~2000円台と安く、若い年代でも手を出しやすいと言う背景があります。また、香水店はもちろん、家電量販店や薬局など幅広いお店の棚を占めているので手に入りやすいです」
多くの人がとっつきやすい香りを生み出している!
ドルチェ&ガッバーナの香水が一番売れていた時期は一体いつなのだろうか?
「正確な数字は公開されていませんが、今も変わらず多くの香水店のランキング上位に食い込んだり、店舗の棚に必ず置かれているのを見ると、
ずっと変わらず売れ続けていますね。その理由としては、世界的な香水の賞を多く受賞し続けているから。代表作の『ライトブルー』(2001年発売)もそのひとつです」
優れたマーケティング戦略も、売り上げ好調に寄与している。
「世界最大の一般消費材メーカーであるP&Gが製作や販売に関わっており、時代に合わせたトレンドを入れつつ、多くの人にとっつきやすい香りのクリエイションを常に守っているからですね。香水に興味を持った人がまず手にとって使いやすい香りづくりを深く理解し、徹底していると感じます。」
香水初心者が手に取りやすい香りから、上級者が満足できる香りを幅広く取り入れているのが人気の理由ということだ。
格安で手に入るファッションブランド系の香水は流行ったのが00年代
ドルガバの香水が流行り始めた2000年代。ファッションブランド系の香水がメインストリームを占めていた。
「
ブルガリの『ブルガリ プール オム』は代表格の香水。
当時は年間1000万本単位の売り上げだったと聞きます。欧米の香水なのに日本人にも使いやすい、強くない香りなのが受けたのでしょう。あとは、
ジバンシィ『ウルトラマリン』、カルバンクライン『CK One』、イブサンローラン『ベビードール』、ランバン『エクラドゥアルページュ』、ランコム『ミラク』なども
00年代を代表する香水といえます。また、ファッションブランドではないですが
『「ライジングウェーブシリーズ』も流行っていましたね。この辺りの銘柄は、若い男女を中心に流行っていて、香水を買う人は基本この中のどれかを買っていた人がほとんどでした」
ブルガリ プールオム EDT 50ml 5063円
カルバンクライン CK one オーデトワレ 100ml 2467円
それぞれ価格も非常に安価で、ものによっては1,000円~2,000円台で購入が可能だった。その手軽さもファッションブランドの香水のひとつ。さらに、あの柔軟剤も香水ブームの火付け役だという。
「
柔軟剤の『ダウニー』が2007年前後からファッション誌を中心に話題となり始め、
その影響もあって香りに興味を持つようになった人が増えたと言われています」