更新日:2020年08月07日 20:30
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石油元売り5社のハイオクガソリン混合出荷、そもそもの問題点を聞く

ハイオクの混合出荷が毎日新聞のスクープで発覚

ハイオク

写真はイメージです(以下、同)

 石油元売り5社がオリジナルブランドとして販売していたハイオクガソリンが、実は他社と混合されて出荷されていたという報道を毎日新聞がスクープ。各社はそれぞれ独自の性能を謳っていたが、他社と貯蔵タンクを共有することで混ぜられていて、性能はそれほど変わらないという事実が明らかに。しかもこの状態は20年以上も前から続いているという。  看板に偽りありとはこのことで、消費者に対する裏切りといっても過言ではない。とはいうものの、クルマに乗る人にとってガソリンは絶対に必要なもので買わないわけにはいかない。どのメーカーのガソリンを選べばいいのかを、自動車評論家の国沢光宏氏に聞いてみた。  そもそもなぜこのようなハイオクガソリンの“混合出荷”が行われたのだろうか。 「ガソリンの中身は一般の人がチェックできず、運転していて性能の違いを分かるはずがない。確かにハイオク仕様車というハイオクガソリン以外を入れるとパワーが落ちるエンジンを積んでいる車がありますが、一般の公道エンジンをフル稼働できないので、ガソリンによる違いは判別できません。石油元売り会社は、そういったブラックボックスな状態を分かったうえで混合出荷を進めたのでしょう」  さらにガソリンの需要が減少したのも理由のひとつに挙げられる。 「ここ20年で石油業界自体が集約化されていき、物流の効率化を図るために他社と貯蔵タンクを共有するようになったと思われます。20年以上前に、各社のハイオクガソリンのパワーチェックをしたことがあるのですが、その時は各社によって性能の違いがはっきりと出ていました。しかし、ここ数年で同じようにパワーチェックをすると、あまり差が出ない。これはおそらく“混合出荷”の影響ですね」

オクタン価100というハイオクは実は存在しない

 そもそもハイオクガソリンとレギュラーガソリンの違いはどこにあるのか。 「JISの規定で、レギュラーはオクタン価は89以上、ハイオクはオクタン価が96以上と規定されています。ハイオクはオクタン価が高いので、異常燃焼が起こりにくくその分パワーが出る。あとはハイオクは清浄剤というのを加えています。エンジンに汚れがついていたらその汚れを落とす効果があるものです」  石油会社によればハイオクの特徴として、①オクタン価100②清浄剤を含むという2点を条件に上げている。ただ実際のところ、清浄剤は入っていない石油会社がほとんだと分かった。 「出光昭和シェルの“Shell V-Power”は清浄剤は入っているものの、他の石油会社では清浄剤は入っていません。汚れが取れるのではなく、付きにくくなる成分が入っているだけ。これはまるっきりインチキですよね。まるで清浄剤が入っているというように見せかけていたわけなので。しかも昔はオクタン価が100であると告知して売っているところがほとんど。いつの間にかそういった数値を出さなくなりましたが、今回の混合出荷でオクタン価100なんてあり得ないことが分かりました」  このような虚偽宣伝がまかり通っていたずさんな状態にも関わらず石油連盟の杉森会長は、このハイオクガソリンの混合出荷について「問題はない」と発言。 「会見で開き直っていたのには驚きましたね。JISの規定を守っているので、混合出荷に問題はないと発言していた。あれでは消費者の反感を買うでしょう」

信頼できるブランドは出光昭和シェル石油だけ

 では、一般の消費者たちはどうやってガソリン選びをすればいいのか。 「出光昭和シェル石油の“Shell V-Power”は、特別配送をしているので唯一信頼できるハイオクと言えます。それに清浄剤も入っていますし。ハイオク仕様車に乗っている方は、今は出光昭和シェル石油でハイオクを入れたほうが安全でしょうね。混合出荷の報道を受けて、最近は出光昭和シェル石油でガソリンを入れる人も増えたそうです。レギュラーガソリンはそれほど石油会社によって差はないのでどこで入れても同じでしょう」 出光昭和シェル
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