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鴻上尚史の新作舞台。構想のヒントは「怪獣が怪獣らしくない」円谷プロの特撮作品

最も熱狂した『怪奇大作戦』

テレビ『1/8計画』は、人口問題解決のために、人間や建物を8分の1に縮小するプロシェクトです。間違って縮小されてしまったヒロインは必死になって脱出をはかります。  50年以上前の作品ですが、まったく古びてない傑作です。  また、カネゴンは、金好きな少年が変身してしまう話ですが、金を食べないと死んでしまう、でもお金はなかなか食べられないから友達に頼るしかない、という、怪獣らしくない怪獣の話です。 『ウルトラQ』は、シリーズの後半になって、テレビ局のプロデューサーの指示で、怪獣を中心にした物語に変更されました。その方が、視聴率が取れると判断したのです。  そして、その結果が怪獣と戦う『ウルトラマン』を生んだわけです。  僕はリアルタイムで子供でしたが、圧倒的に強い怪獣が出てくる回は、あまり面白さを感じませんでした。怪獣が強いので、出てしまったら、それで終りというか思考停止になるしかないと感じたからです。  なので、今も記憶に残っているのは、怪獣が出ても怪獣らしくないカネゴンやガラモンの回でした。  そして、最も熱狂したのは、同じ円谷プロですが『怪奇大作戦』という番組でした。
 これにはまったく怪獣は出てきません。ただ、不思議な物語が次から次へと展開されました。  今は、欠番扱いでDVDでも見られない『狂鬼(きょうき)人間』という作品は、意識的に脳波を狂わせ、心神喪失状態で殺人を犯し、刑法39条の規定によって無罪になる人間を量産する話です。  21世紀に創られたと言われても納得できる、強烈な内容です。 『京都買います』は、京都と仏像を愛した女性が、誰も京都を愛していない、私だけが京都と仏像を愛していると、人々から京都を買い取ろうとする実相寺昭雄監督の傑作です。  ですから僕は円谷プロの作品のファンですが、怪獣が怪獣らしくない、ヒーローがヒーローらしくない作品のファンなのです。『地球防衛軍 苦情処理係』もそういう思いで創りました。よろしければ、劇場でお会いしましょう。ネットでググれば、チケットは買えます。
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