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幻となった東京五輪マラソンコースを、体重87kgの39歳おじさんがチャリで爆走した結果…

同じ道を帰るのは辛いがザギンでもう一度奮い立つ

 浅草から日本橋までは同じ道を戻る。日が昇りはじめ、街は明るさを得て自転車のライトを付けなくてもよくなってきたのはいいが、同じ風景を2度見るというのはこれほど「つまらない」ことなのかと思う。が、日本橋到着(20km地点)で約半分まで来た! と思うと同時に、ここからは新ルート。左折して銀座、いや、夜明けのザギンを爆走するのだ!
ザギン

ザギン

 日本で一番地価の高い銀座の大通りを文字通り爆走する。早朝のためほっとんど人がいない。疲れて声は出ないけれど「いやっほー」と心で叫びながらスピードを取り戻す。実に爽快である。ザギンでオールして朝まで過ごしてたらこの景色を見るのかと思うとなんかかっこよくないですか?
増上寺折返し地点

増上寺折返し地点

 新橋まで爆走し、JRをくぐるために右折左折をすると増上寺、東京タワー付近まで一直線。もう街は明るくなってきた。だが、やけに道にカラーコーンが多い。どうやら今日は朝からハーフマラソンをするようだ。開始は8時ごろから。もし筆者がもっと遅くここに来ていたら交通規制がかかって通れなかったかもしれない。しかし、8時まであまり時間もなく、もう全身悲鳴を上げるカラダにむち打って爆走。これで25km地点を通過。だが東京タワーをのんびり眺める余裕もない。増上寺前で折り返し、ここから辛い「見た風景の復路」が神保町まで続く。

皇居外苑コースへ。だが交通規制?

 神保町へ戻るまでに30km地点を通過。ケツはいたい、脚は重い。スピードはグングン落ちてゆく。だが、神保町からは南下し、最後の新ルートである皇居外苑へ向かうのだ。
皇居ルート

皇居ルート

 もう普通に朝の明るさとなって、竹橋から皇居沿いに進み、皇居外苑の中央で折り返しとなる。中学生時代、ここでよく皇居のマラソンコースを走っていた。もう20年以上前のことだが、走るのは得意だったよなあ。もう一度心を奮い立たせて進む。
皇居ルート

皇居ルート

 だが、皇居外苑もなにか様子が違う。御即位に伴う慶祝行事の一環で交通規制が行われそうな気配。人出も警備員も多いのだが、詳細を確認する余裕もない。交通規制があるのかもわからないので、急いでここも進むことに。いい景色だったのだが、ここは実際のマラソンでも勝負所になる地点だ。踏ん張りどころでどう心を奮い立たせるかが重要なはず。幸い筆者は、ここで運動していた過去を思い出して奮起できたが。

担当へ電話するも

 皇居外苑を折り返し、神保町交差点地点が35km。だが、ここで尿意が襲う。もう時刻は8時。コンビニのトイレをお借りして、一旦担当T内君に電話する。あと少し、なにか後押しの言葉がほしい。観客も声援もないのに俺はここまで走ってきた。担当だけは温かい言葉を……と思っていたが甘かった。 筆者「今35km地点、遅くてごめん。国立競技場にいるよね?」 T内「国立競技場の前で伊東豊雄似のおじさんと、新国立競技場のデザインについて語り合ってますよ」 筆者「(なんだそれ、面白そう…)全力で走るからもうちょっと待っててね」 T内「あ、そうっすかーはーい」(ガチャ切り)  こいつ、ゴールしたらブン殴る。そう決めて、ある意味走る理由を得て、最後復路を爆走する。
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感動のゴール! のはずが
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