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幻となった東京五輪マラソンコースを、体重87kgの39歳おじさんがチャリで爆走した結果…

 東京で8月にマラソンは無理! で、札幌に変更となった2020年東京オリンピックのマラソン。マラソンといえば、スタジアム以外でも観戦できる花形競技なわけで、すでにコースも発表されていたが幻となってしまった。
オリンピックスタジアム

東京五輪 幻のマラソンコース

 幻といっても今年9月、マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)でコースは使用されており、東京にマラソンを残そうと小池都知事が「午前5時」や「午前3時」にスタートする案を出したのは記憶に新しい。

今更検証…朝5時スタートしたらどうなるのか?

 私事で恐縮だが、筆者は先月、約2年間勤めた週刊SPA!編集部を一身上の都合で退職。病院の問診票には格好つけて「自営業」と書くが、まあ無職である。「何か仕事をくれ」と古巣の編集部に拝み倒した結果、「幻のマラソンコースを朝の5時から走る仕事」を受注したのだ。
このレンタサイクルでスタート

筆者。このレンタサイクルでスタート

 走るといっても特段運動もしていない39歳松坂世代、お腹に肉がしっかりついた87kgのデブ。普通に走れば完走すらおぼつかない。そこで実際のレースに近いタイムで走るために、レンタサイクルの電動自転車を用意した。最初の30分150円、その後は30分100円の従量制だ。
スタート地点。だれもいない

スタート地点。だれもいない

 気温は5度。めちゃくちゃ寒い。ひとりで5時まで待つのが耐えきれず、4時47分にスタートすることにした。いざ!

出だしは順調。大迫選手の日本記録が射程圏内?

たぶん市ヶ谷

たぶん市ヶ谷

 スタートして最初は四谷までほぼ道なりに進むと、大きな上り坂が続く。だが、電動アシスト自転車の恩恵か、全く苦にならない。しかも右折して市ヶ谷まで直進するルートは下り坂。ますます楽勝だ。  スピードも20kmは出せており(車道に輪道が設定されている)、27歳の担当編集・T内君の「大迫の日本記録(2時間5分50秒)更新したら原稿料アップしますよ」とのたまった発言を後悔させてやる! とよりやる気が増す。  市ヶ谷から水道橋までは中央・総武線沿いに進んでいく。皇居の外堀とも並走になり、右手に走る電車と外堀の緑を眺めならが気持ちよく走る。道もほぼ平坦。なんと心地良い……と言いたかったのだが、5km地点となる飯田橋のあたりでもうケツが痛い。ほぼ座りながらサイクリング感覚で漕いでいたが、座るだけでケツが悲鳴を上げる。ここから立ち漕ぎ主体となっていくのだが……

東京ドームが見えない…

 飯田橋から水道橋へ。水道橋といえば東京ドーム! さあ左に見えますのはビッグエッグ……と期待していたが、Winsやドームホテルが邪魔して走路の高さからは一切見えない。そりゃそうだ。言うほど高い建築物じゃないんだった……あと、手前に建物が多すぎた。  水道橋から右折して南下し、神保町を目指す。神保町で左折して神田へ。中学時代、筆者の地元だったこの地域。勝手知ったる古本屋街だが、店もだいぶ変わってしまった。減った古本屋を見て感傷に浸りながら、さらにかつてスキー用品店で溢れていた小川町を進み神田駅付近で右折し南下、一路日本橋を目指す。

気温7度、日本橋を爆走

 立ち漕ぎを続けていた影響か、太ももに痛みを感じ始める。ケツも痛い。サドルに太ももを寄りかからせて休めながら進む状態になり、スピードも落ち気味になってきた。だが、まだ10km地点。あと4倍もあるのかよ!
日本橋直前、時刻と気温

日本橋直前、時刻と気温

日本橋手前 道がきれい

日本橋手前。道がきれい

 日本橋の手前に時刻と気温を表示する電光掲示板が。これ昔からあるのよね。昔はパネル式だったけど今はLEDだ。ふふふ、ここは筆者の小学生時代の地元なのだ。シティボーイだろう? と心で思うもののまだ5時半。だれもその勇姿を見てくれない……寒い、手もかじかむ。手袋してくればよかったと強い後悔が襲う。
日本橋と筆者

日本橋と筆者

 だが、日本橋が見えると違う! ここは俺の地元じゃああああと心を奮い立たせ日本橋を通過。この街を爆走するのはほんと気持ちいい。実際にマラソンコースで採用されていたなら、ここはオススメのビュースポットだと思う。  さて、日本橋を過ぎて左折し茅場町へ、さらに左折して水天宮、浅草橋と進み、浅草を目指す。ここいらへんは道が細いかな、と思ったがちゃんと2車線あり歩道も広い。よく考えられたコースだなあと思う。

6時14分浅草到着。日本記録は無理と悟る

スカイツリー

スカイツリー

 浅草を目指して北上。右手にはスカイツリーが見える。
雷門

雷門

 浅草到着時刻が6時14分。ここまで約1時間半。この地点は15km。あ、無理ですね日本記録……そりゃそうだ、いくら20km出して踏めても、信号とかちゃんと交通ルール守って走るとこうなるよね。交通整理って偉大だなあ。  運動していない39歳は割と限界を迎えていた。「もう許して……」担当T内君に泣きのメールを入れる。「走ってるんですね、7時にゴール地点で待ってます」の返信。リタイアのリの字も言わせる気がない。鬼。
メール

編集者に届いた弱気なメール

「7時は無理」と返信したが、折返しは来ない……。
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同じ道を走るのってしんどいね…
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