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竹鶴政孝を世界へ送り出した男が作ったマルスウイスキー。その歴史に触れる

 2019年のクリスマス、筆者は1人で鹿児島に向かいました。本土最南端のウイスキー蒸溜所である本坊酒造のマルス津貫蒸溜所を見学するためです。マルスウイスキーは長野県中央アルプス駒ヶ岳山麓にマルス信州蒸溜所を構えています。こちらは見学したことがあるのですが、2016年に新設された津貫蒸溜所はまだ来ていませんでした。  ちなみに、2か所のウイスキー蒸溜所を持っているのは、サントリーとニッカウヰスキーに続いて、本坊酒造が3番目となります。

クリスマスに鹿児島のウイスキー蒸溜所に行ってきました

 鹿児島県南さつま市にあるので、まずは朝一の飛行機で鹿児島空港に向かいます。そこから鹿児島交通のバスで枕崎・加世田方面に向かいます。バスは1時間半に1本しか出ていないので、飛行機の到着時間とバスの発着時間を合わせましょう。バスに乗って90分、降りるバス停も悩みどころです。最寄りの「上津貫」で降りると2kmくらい歩くことになります。タクシーに乗りたいなら、その手前「加世田」で下車し、10kmほど走ることになります。筆者はタクシーを選択しました。帰りは、蒸溜所の目の前から、「加世田」までバスが出ています。

マルス津貫蒸溜所の見所は?

 蒸溜所に着くと、大きく「見学受付」と書いてあるところで記帳しツアー開始です。さすがにクリスマスなので、11時半の参加者は筆者だけでした。  まずは旧蒸留塔に案内されました。ウイスキー蒸溜所は2016年に作られたのですが、本坊酒造では100年以上前、1872年から焼酎を製造しています。1918年には、当時としては最新鋭の連続式蒸溜器を導入し、70年代前半まで稼働していたそうです。今は動いていませんが、その実物を間近で見られるのは貴重な体験でした。

見学は旧蒸留塔からスタート

昔焼酎を製造していた連続式蒸溜器です

 続いて、ウイスキーの製造工程を見せてもらいました。新しい蒸溜所なので設備がとてもキレイです。モルトを粉砕し、マッシュタンでお湯を入れて麦汁を作ります。ここで利用する水は、焼酎を造っている水と同じで、軟水だそうです。麦汁はステンレス製の発酵槽に移され、約4日間発酵させます。蒸溜に使うポットスチルは初溜釜と再溜釜の2基でした。  2016年から蒸溜を開始し、3年が経ちました。今年、やっと津貫蒸溜所で作られたウイスキーが発売される予定です。熟成庫には多数の樽が眠っていました。津貫で蒸溜されたものだけでなく、信州蒸溜所で作ったウイスキーをここで熟成させている樽もありました。

材料となるCRISP社製のモルトがありました

手前の機械でモルトに混じっているごみを取り除き、奥の機械で粉砕します

モルトにお湯を注ぎ、麦汁を作ります

発酵槽に麦汁と酵母を入れて発酵させ、アルコールを発生させます

2基のポットスチルで蒸溜します

貯蔵庫にはもうすぐ3年を迎える樽が眠っています

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