更新日:2023年05月23日 17:10
エンタメ

「人に関心がないから相談に乗れる」プロが語り合う“無関心の作法”<爪切男×ものすごい愛>

好きな人以外には無関心でいてもいい

――爪さんは愛について書いてみて変化した点はありますか? :「やっぱりアスカのことが好きだったんだなぁ」と改めて気づきました。書いているうちに言葉に愛が宿ったように思います。最初は、ただ読者に僕の情けない恋を笑ってほしくて書いたのですが……。あと世の中は愛に飢えてるんだなと思いました。「アサリの鳥葬」の話もそうですが、こっちは笑って欲しくて書いたのに、読んだ方は愛の物語として受け取る人が多かったので。 :みんなすぐ愛を言語化させようとする(笑)。 ――愛さんは今後も恋愛相談を続けますか? :打ち切りにならない限りは続けられたらいいなと思っています。 :愛さん、小説は書かないんですか? :一度挑戦したんですが、私には書けないと思いました。近所の人に「あそこは情緒があってすごく良かったよ。心が洗われた感覚になる」と言われて夫と伊勢神宮に行った際、情緒というものを何も感じず、夫に「どう? 心洗われた? ジャブジャブか?」と聞いたら、「デリカシーがない!」って怒られました(笑)。デリカシーがなさすぎるので情緒が重要な小説は一生書けないと思います。 :好きな人の前ではデリカシーがない女は良い女だと思います。デリカシーがないのは嘘がないのと同じだと思うので。そういうタイプの女性は、それを嫌がりつつも離れていかない男性と付き合えばうまくいく気がします。 :私の夫も、私のデリカシーのなさを嫌がりつつも楽しんでくれているので、うまくやれています。人生が楽しくなるのだったらデリカシーがなくてもいいし、嫌いな人に振り回されて疲弊しないよう、好きな人以外には無関心でいてもいいと思います。 取材・文/姫野桂 撮影/杉原洋平
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ、。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は社会問題、生きづらさ。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)『生きづらさにまみれて」(晶文社)、『ルポ 高学歴発達障害』(ちくま新書)
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