収入はゼロ…ライブが出来ない関西アイドルシンガーの苦悩
「ライブが出来ない今、収入は完全にゼロです……」
溜め息まじりにこう話すのはアイドルシンガーの仲村コニーさん。電話越しにも生活が逼迫していることが伝わってくる。
コニーさんは2月の終わり頃、インドネシアのバリでライブを行った。3月始めに帰国すると、ライブは軒並み中止になっていった。
「バリ滞在時には、『日本でトイレットペーパーが売り切れ』というニュースを見ても、そんなに危機感はありませんでした。でも、帰国してから変化を痛感することになりました。イベンターから中止の連絡が増えるようになってきたんです」
そのほとんどが前日のキャンセルだったという。
「みんな、本当はライブがしたかったと思うんですが……。たとえ私たち演者がライブをしたくても、イベンターや主催者、ライブハウス、そのどれかひとつがNGを出せば中止となります。政府からも『強制ではないが、なるべく中止してほしい』という旨の通達がライブハウスにきていたそうです。そりゃ、ライブをやりたくてもやれないですよ」
当時、悩んでいたのはコニーさんだけではなかった。2月後半から3月前半にかけてイベントを開催するべきか、中止するべきか……その判断は運営側に委ねられていたので、音楽業界全体が頭を抱えていた。苦渋の決断の末、無観客ライブを行い、YouTubeなどで配信するアーティストも見られた。
そんななか大阪では4つのライブハウスから感染者が出た。コニーさんは、そのすべてのライブハウスに出演したことがあるという。
「最初にライブハウスで発覚したので、“ライブハウス=悪”というイメージがついてしまいました。その後、ほとんどのイベントが中止となりましたが、しばらくの間は手洗いやうがいなどに注意しながら出演を続けていました」
次第に世間での風当たりが強くなるなかでも出演を続けたコニーさん。どういった心境だったのだろうか。
「もちろん、ライブをしなければ収入が全くないので自分が“生きていくため”です。ただ、それだけではなく、コロナの影響で苦しい状況に陥っているライブハウスの関係者たちのためでもありました。
ライブハウスって、たくさんの人が働いてるんです。オーナーだけでなく、受付、音響、照明……この人たちの仕事も自分同様ゼロにはしたくなかった。ファンの人は会社員がほとんどだったから、ニュースが出た途端に来れなくなった人が増えました。やはり、感染が発覚すると、会社名や個人情報まで特定されてしまう流れがあったので。会社から“ライブ禁止令”が出たという人も多かったです」
彼女は関西を中心に活動しており、テレビ番組『マヨなか笑人』 (読売テレビ)の企画で古坂大魔王プロデュースのユニット「コンプレックスレインボー」のメンバーにも選出された人物である。
大阪では、複数の老舗ライブハウスで新型コロナウイルスの集団感染が起きた。現在、大阪の繁華街である梅田や心斎橋には全く人が歩いていない状態だという。
そこで、今回は実際に関西で活動しているコニーさんに大阪ライブアイドルシーンの変化や現状についてうかがった。
ライブが出来ない、収入はゼロ…アイドルシンガーの葛藤
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ライター兼底辺グラドルの二足のわらじ。著書に『最底辺グラドルの胸のうち』(イースト・プレス)、『現役底辺グラドルが暴露する グラビアアイドルのぶっちゃけ話』、『現役グラドルがカラダを張って体験してきました』(ともに彩図社)などがある。趣味は飲酒、箱根駅伝、少女漫画。X(旧Twitter):@sally_y0720
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