月5000万円の赤字! コロナで崖っぷち、ライブハウス・ロフトの新しい稼ぎ方
新型コロナウイルスの感染拡大のなかで、初期に“クラスター”が発生した場所といえば『ライブハウス』にほかならない。“3密”の発生しやすい場所としてやり玉にあげられ、いまだ営業再開できない店も多い。
そんなライブハウスの中でも、新しいことに挑戦して話題を集めているのが、あのサザンオールスターズやBOØWYなどの伝説的バンドも若かりし頃ステージにあがった老舗・新宿ロフトをはじめ直営10店舗の会場を持つ『ロフトプロジェクト』だ。
緊急事態宣言を受けた4月から、観客を入れた公演はしばらく中止に。売り上げがたたない中でも、グループ全体の家賃の合計1300万円は毎月払わなければならない。この苦境に「ライブがダメなら!」とオンラインイベントを月200本以上開催する“配信イベント会社”として生まれかわっているのだ。そこで今年前半からの変化について、ロフトプロジェクト代表の加藤梅造さんと同社統括部長の石崎典夫さんに話をうかがった。
――この約半年、ライブハウスはどこも大変だったと思いますが、ロフト運営のライブハウスはいつぐらいからコロナ問題が表に出始めましたか?
加藤梅造氏(以下、加藤) 3月くらいからコロナ拡大と共にキャンセルが増え、3月25日に東京都で週末の外出自粛要請が出たのが決定的でした。以降は会場に集まってイベントは出来なくなりましたね。観客でごった返す音楽イベントは“密”だからダメになり、多くのバンドが出演する新宿の『ロフト』とか下北沢の『シェルター』は営業できず。アーティストに対する支援(寄付)するドネーショングッズを作って売るくらいしか売り上げを賄う材料がなかったです。トークライブハウスの『ロフトプラスワン』『阿佐ヶ谷ロフト』などは、無観客の有料配信はなんとかできました。
石崎典夫氏(以下、石崎) 特にうちは3月20日の渋谷『LOFT HEAVEN』で行われたライブでコロナ陽性者が出たのが痛かったですね。報道が出たのは4月。小池都知事も「夜の街に行かないでください」って言い出すし、そこで全局のワイドショーがトップで「ロフトから感染者が」と出したもんだから、批判が殺到しました。
――他のライブハウスも続々閉店をするなかで、ロフトグループの創始者でもある元会長・平野悠さんは自身のFacebookで「各ライブハウスの家賃だけで毎月1300万円、社員や契約社員などの人件費など含めて毎月5千万円の赤字」と投稿しました。
加藤 どうにか経費を削りましたが、家賃や人件費、社会保険は削れませんからね……。日本政策金融公庫と信用保証協会を通して、なんとか2億円を調達できたので、まだしばらくは維持できるはずだと。あと今やれることは配信しかなかったです。
――生のライブができなくなり、3月からロフトは配信にシフトしていきました。現在は月に何本くらい配信しているのでしょうか?
石崎 今は日本全国に直営10店舗あるんですけど、8月は260本イベント配信しました。3月が44本、4月が93本で6月からは毎月200本以上配信イベント行っています。これだけ配信をやっていると、数か月でスタッフも慣れくる。たくさんトークイベント出ていただいている春日太一さん(時代劇・映画史研究家)から、「君らは気づいてないけど、今のロフトは各店舗に配信スタジオとしての機材も揃っていて、スタッフも配信もライブもできるすごい集団になってる。これをアピールした方がいいよ」って言ってくれたんですよね。それはちょっと自信になりました。
あの「ロフト」が、“配信イベント会社”に生まれ変わる

コロナの被害は月5千万円の赤字
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