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<純烈物語>衝突しても引きずらない、メンバーとマネジャーの男臭い絆<第45回>

「昔は些細なことでメンバーとぶつかっていた」

「今はなくなりましたけど、昔は些細なことでぶつかっていましたね。たとえば特典会、撮影会でお客さんは2時間も並んでいるのにメンバーはチンタラしている。それで僕がどういうことや!となるわけです。  お互いの思っていることにギャップがあって怒った酒井がその場を出ていったり、逆に僕が『もうやめたるわ!!』と一度現場すっぽかしたことがあったりで。  友井(雄亮)がいた頃、あいつが納得できないと言って引かなくて、僕もまくし立ててしまう人間だから『何が納得できんじゃ、オラ!』ってなってしまったこともありました」  物事をうまく進めるためには我慢や犠牲にしなければならないケースも出てくる。その上で辛抱できぬもの、積もり積もった感情がぶつかる。しかしそこは男同士だから、言いたいことを言ったら引きずらない。  そのあたりも部活のようであり、かつプロフェッショナル同士の着地点でもある。進撃の巨人と口論できるメンバーの肝の据わりっぷりにも驚かされるが、山本は山本でどんなに喧嘩となっても、メンバーに手を出したことは一度もない。  一蓮托生とは、そういうことなのだろう。喜びや楽しさだけでなく、怒りや哀しみさえも共有できる関係性――それは、白だけでなく黒もともに味わうと言い換えてもいい。 「紅白に出られた時に『山本がマネジャーになったから出られた』ってよく言ってもらえたんですけど、僕はそんなことこれっぽっちも思っていなくて。むしろあいつらに対し俺は何ができたんやっていう思いですよ。彼らが諦めずに真っすぐやった結果であって、僕はそれに便乗させてもらったとしか思えないんですわ」  今のところ、純烈とその周辺を追い続ける中で“俺の手柄感”を匂わせるような人物とは一度も出くわしていない。おそらく、これからもずっとそうなのだと思う。  純烈丸に乗っている者たちは、みな山本と同じ思いを持ち続けている。その証言として、クラウンレコード・新宮崇志の言葉を今一度、記しておく。 「通常、成功への道筋にはスタッフが導くものじゃないですか。プロデューサーがいて、サポートする人がいて、それで紅白に出してやるとなるものですけど、純烈はメンバーに連れていってもらっている感がある。山本さんも他の関係者も自分が出してやったなんて一人も思っていないはずです。  よく、売れると『俺があいつを売ってやったんだ』という人がいるけど、純烈に関しては誰もそんなことを言っていない。俺が純烈を売ったと言っている人がいたら、それは嘘です。近しい人ではないです。だってあの人たちは、自分で売りましたもん」 撮影/ヤナガゴーッ! 鈴木健.txt
(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。
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