更新日:2020年05月23日 14:39
エンタメ

<純烈物語>「大丈夫?」は不安感ではなくワクワク感 マネジャーの目から見たメンバーとは?<第46回>

枠にとらわれない狂った感覚を素でできるのが酒井

「枠にとらわれないあの狂った感覚ね。それを素でできる人間が面白くないはずないじゃないですか。楽屋の扉が開いていて、中からアンアンと何やらなまめかしい声が聞こえてくる。なんやろうと思って覗いてみたら、酒井がエロ動画を流していて、それを見た周りの反応を別のスマホで録っている。そんなことが日常ですから。そんなもん、本当にくだらなくてどーでもいいことやないですか。でも、それを現場でできるところがおもろい。  例の“グジュグジュ”(昨秋放送されたテレビ番組で『後上翔太は歯磨きのあとゆすいだ水を吐き出さずに飲み込む男』と晒し上げた件)も、常識的な判断では事務所的にもグループ的にもアウト。普通の歌手だったら、たとえそうだとしても絶対に見せない部分ですわ。でも酒井は逆転の発想で、後上ならそういうことをやってもポジティブな形で成立するというように持っていっているのがわかるんです」  計算してやっている部分と適当なところが入り混じっており、それに関しては今でも完ぺきには見分けられていない。そこがわかっているのは、この世で酒井本人たった一人なのだろう。  それでも幼少期のいたずら心とうまくいくために必要な計算高さの両方を備える酒井が、山本にはたまらなく魅力的に映る。そして長く付き合うほどに、同じ感性を共有するようになってくる。  この連載を続ける中で、公開前の原稿チェックは山本が担当しているのだが、これまで「ここは削ってください」と言われたことはほとんどない。理由を聞くと「僕は酒井と同じ感覚だし、ホンマはそんなに気にしないんで」。  つまり酒井の代わりに見ているのであり、あいつならここはOKだろうという判断。けっしてチェックを緩くしているのではなく、あくまでも純烈のカラーや姿勢に基づいた結果、そうなっている。  ザルにならぬよう、自分は出してもいいのではと思っても事務所的にはどうかとなった時は、社長に見てもらい判断を委ねる。記事にしてもメンバーの発言も、純烈内にこのようなシステムが確立された上で世に発信されているのだ。  そんな山本にとって、唯一の年上となるメンバーが小田井涼平。このあたりは、マネジャーとしての視点からパブリックイメージとは少し違った部分が語られる。
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ルーティンを崩さずマイペースすぎる小田井
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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