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小中学校でオンライン授業をやらない理由に感じた“悪しき平等”/鴻上尚史

もし第二波、第三波が来たら…今のうちに準備できること

 小学校や中学校でもオンライン授業はやらないのかなあと思っていたら、偉い人から「家庭によって、パソコンがあったりなかったり、スマホだったり、ワイファイがあったりなかったり、バラバラだから、不公平になってはいけないので、やらない」と言われました。  一瞬、納得しかけたのですが、ちょっと待てよと思いました。  いや、気持ちは分かります。教育格差がどんどんと拡大していくなか、不公平になっていくことを心配することは分かります。  でもね、何を思い出したかというと、東日本大震災の時に、避難所に差し入れが届いた時に、避難している人数分ないから配らない、ということがありました。  例えば、レトルトカレーが300食分届いたけれど、避難している人が350人いるから配れないと。その時は、「そうかあ。残念だなあ」と思ったのですが、同時に、これはひょっとしたら、「悪しき平等」ということなんじゃないかと感じたのです。  この話を極端にするとね、「船が沈みかけている。でも、救命ボートは全員乗れない。だから、救命ボートは使わない。不公平になるからだ」という論理になるんじゃないかと思ったのです。  この時、まずは子供と女性、そして高齢者から乗る、なんていうルールが生まれたりします。というか、生まれないと阿鼻叫喚の地獄になるので、賢い大人はこういうルールを作るわけですね。  でね、何が言いたいかというと、小・中学校のオンライン授業ですよ。コロナは第二波、第三波があるとか言われているわけです。  うかうかしていると、また、休校になるかもしれないわけです。そんなこと、ないと祈りたいですけど。  でね、そのためにも、今のうちに、各家庭にパソコンやタブレットがあるのかないのか、ワイファイはあるのかないのかを調べて、そして、ない家庭には、タブレットとポケットワイファイを貸し出すとしたらいくらかかるのか。  そういうことを調べて、準備していく時間じゃないかと思うのですよ。  もちろん、旗を振るのは文科省でしょう。かなりの金額がかかると思いますから、自治体だけでは無理かもしれません。  もちろん、第二波が来なくて調査がムダになったのなら、とても喜ばしいことですが、もしものために、長い休校ではなく、せめてオンライン授業を考えておくのは、賢い大人の責任じゃないかと思うんですが。私、空想すぎること言ってますかね。
ドン・キホーテ 笑う! (ドン・キホーテのピアス19)

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