バカラのひと勝負に140万円。20代の僕が味わった臨死体験と呪われた人生
トランプを捲ってマークがなかった時、つまりは1~3の数字を引いたのが確定した時、生まれて初めて失禁した。禁じ得なかった。喜びの感情とも違う何かが胃を押し戻し、体が軽くなった。あの時の浮遊感はその後簡単に200万円を賭けるようになっても訪れなかった。僕の「僕史」に一生刻まれる名場面だったろう。本当に死ぬ時に見る走馬灯の中にこの場面は絶対に入れる。金枠赤文字からボタンプッシュで視界が虹色に光りながらコンチ音を鳴らすに違いない。
この時の記憶はその後、僕を生かすし、生かさない。もう一度いつか人生でこんな快感に出会えるかもしれないと思うと、どれだけダメな人生になっても死ぬわけにはいかないし、小さい規模でもこの快感が味わえるなら……と博打を辞められない。
死なない呪いをかけられた。
この話は日本でギャンブルを続ける今の僕を語るにあたっての余談だ。
毎日1万円をパチンコに飲み込ませながら、なんて惨めなんだと思う時がある。バカラができればこんなチマチマした金額で遊んだりしないだろう。でも競馬は詳しくないから全部賭ける勇気は無い。
僕の自信に満ちた全力の選択を、気持ちを、100%受け止めてくれるゲームはやはりバカラだけなのだ。全身が引き裂かれそうな緊張も、視界が遠くなって気を失いそうになる絶望も、本物はバカラだけ。
もちろんほかのギャンブルゲームも楽しい。それぞれのゲームにはそれぞれの楽しみ方があるし、その時そのときで僕は心から楽しめる。ただ、憎めるほどまで愛した瞬間は今のところバカラにしかなかったというだけだ。
こんな話をしたところで、明日の僕はまた1万円に困る生活をする。
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。
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