人のカネでやる競艇を酒場で真剣に予想した結果…
優勝戦の選手は当然ながら一流中の一流で、実力も拮抗している。そうなると競艇の性質上内側の選手が勝ちやすい。1-2-3で来ると予想していた。オッズは5.6倍。正直言ってここに1万円全部張ってもいいくらいだ。だが、僕はどうせ勝つなら10万円は欲しいと思ったので、金額を散らして2-1-3、2-1-4、2-1-5の3種類を買った。1番の方が有利ではあったが、2番の選手が最初のコーナーで抜きさえすれば10万勝てるし、僕も無いところからまあまあの金額を得ることができる。あり得なくはない。
居酒屋でうんうんと1時間ほど話し合った末に決めた舟券。自分の金よりも人の金の方が一生懸命に予想ができた。僕は自分の人生の軸に「金を稼ぐ」というものが欠けているので自分の金を粗末に使ってしまう。昔から「自分の金だと思ったら云々」と続く説教で納得したことがない。好きに使えばいいだろうと思う。これだから貧乏どころか借金まみれなのだが、手元に現金があれば外で飯を食ってしまうし、新しい物を買ってしまう。今欲しいのは新しいapple watchだ。
さて、舟券を買ったので1万円を預けてくれた人に購入した優勝戦の時間を報告しよう。これで当たれば僕も彼も胸がすくだろう。ド派手に勝って運命の糸をグッと引き寄せるんだ。
レースは20:45出走だ。アニキとの飲み会も程々に解散して家でレースを見ることにした。
選手がスタート位置につく。競艇は競馬と違ってスタートが1番の見所だ。最初のコーナーで前を取れた選手がそのままゴールすることが多い。競馬みたいに最後の直線でドラマが起きることは滅多にない。2時間近く予想して、結果は最初の数秒でわかってしまう。覚悟が追いつかない。
最初のコーナーを曲がって頭ひとつ抜けたのは、白の選手だった。
実はその日行われた12レースのうち、12レースとも白の1号艇が1着だった。
スタートしてから5秒と経たずに負けがほぼほぼ確定する。競艇はドキドキしてから結果がわかるまでが速すぎる。辻斬りにあった気持ちだ。
僕のものではない、なんの思い入れもない1万円がなくなった。働いたわけでもないのにとても悔しかった。これは人の身が傷ついて心を痛めているのではない。ノーリスクから手に入るはずの金をリアルに想像しすぎた。あれもこれもと考えていた狸の皮がなくなった悲しみだ。
僕に1万円を預けた人に連絡する。
「負けてしまいました、すみません笑」
「ざんねーん ありがとねー」
そんな言葉で片付けられないくらい思い入れがあった1万円。5万になったらapple watchでも買おうと思っていた1万円。久しぶりに1時間も予想をした本気の1万円。
本当に1万円負けたのは僕だったのかもしれない。
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。
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