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鉄道不通区間の[代行バス]に乗ってみた。日本最長116㎞の代行バス路線も

そのまま廃線、バス路線化するケースも

代行バスのルートもほぼ海沿いだ

代行バスのルートもほぼ海沿いだ

様似駅

様似駅

 静内駅~様似駅の代行バスの所要時間も約1時間50分で、大海原や牧場地帯が広がる風景もほぼ同じ。ただし、必ずしも駅前に停留所を設けているわけではない。  もともと乗降客が極端に少なかった内陸にある絵笛駅(浦河町)は駅から約2キロも離れた海に面した国道沿い、東町駅(同)は利便性を考慮して駅の数百メートル先にある総合病院と高校のすぐそばに停留所が変更されていた。列車だと駅の場所を変えることができないため、こうして臨機応変に対応できるのもバスならではだ。 「景色はやっぱりいいですね。個人的には代行バスよりも列車から景色を眺めたかったですが……」  そう話していたのは、筆者と同じバスに乗り合わせていた札幌から来た鉄道ファンの50代会社員。
様似駅の車止め

様似駅の車止め

 筆者も同感だが、国の支援なしでは経営が成り立たないJRが大赤字路線の日高本線を廃線を考えるのは当然のこと。海沿いのローカル線としては、秋田・青森両県の日本海側を走る五能線とほぼ同じ距離で鉄道ファンには人気があったが、鵡川駅より先の区間を列車で移動する日は今後もなさそうだ。  ほかの代行バス区間では、九州の日田彦山線の日田駅(大分県日田市)~添田駅(福岡県添田町)の沿線自治体が先ごろ、廃線とBRTと呼ばれる線路部分に敷設した専用道路を走行するバスへの転換を正式に受け入れたと報じられた。  また、全国有数の秘境路線として名高い只見線は、7月31日の大雨で只見駅(福島県只見町)~会津川口駅(福島県金山町)の従来の代行バス区間に加え、新たに会津川口駅~会津坂下駅(福島県会津坂下町)が土砂流出の影響で不通に。同じく令和7月水害で大きな被害を受けた九州の数路線同様、復旧への道のりは簡単ではない。  仕方のないこととはいえ、代行バスの存在が廃線へのプロセスとならないことを願うばかりだ。<TEXT/高島昌俊>
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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