近年、都心回帰の流れとなっている首都圏の住宅事情。だが、その一方で地方から新幹線で通勤する人も増えている。特に静岡駅の新幹線のホームが朝晩に通勤のサラリーマンで混雑しているのは有名な話だ。
JRには『FREX』という新幹線定期券があるが、東京駅発着で販売している区間は以下の通りだ。
<東京駅までの新幹線定期券『FREX』の発売区間>
豊橋駅(愛知県豊橋市/東海道新幹線)
上越妙高駅(新潟県上越市/北陸新幹線)
燕三条駅(新潟県三条市/上越新幹線)
福島駅(東北新幹線/東北新幹線)
※学生向け通学用定期券『FREXパル』の発売区間も同じ。
定期券を使って東京に列車通勤している人の限界点は、恐らく上記の駅やその周辺駅だろう。
しかし、ただ単純に「出社時間に間に合う一番遠い駅」という条件で調べてみると、新幹線定期券の取り扱い区間よりさらに遠方からの出社が可能。毎日の通勤は厳しくても旅行や帰省などで日曜日も泊まり、月曜日の朝、そこから直接会社に通うということも不可能ではないわけだ。
今回は会社の最寄り駅を東京駅と設定、就業開始時間が8時、8時30分、9時の3つのケースで調査。時間ギリギリに出社する人は少ないかもしれないが、東京駅に出社時間の15分前までに到着するという条件でそれぞれ調べてみることにした。
静岡・長野・越後湯沢・郡山の各駅は通勤圏内
まず、8時就業の場合だが、東海道新幹線の限界点は静岡発6時22分発の「こだま804号」。東京駅は7時36分着で、実際に通勤利用者が非常に多い新幹線のひとつだ。
島田駅
ただし、在来線で静岡駅まで向かうのであれば、同駅の約25キロ西にある東海道本線の島田駅(静岡県島田市)が通勤可能駅の限界点。始発から2本目の5時52分発に乗れば上記のこだま号に乗り継ぎ可能だ(※距離はJRの営業キロではなく直線距離)。
長野駅
郡山駅
ほかの新幹線だと、北陸新幹線は長野駅6時2分の「あさま600号」、上越新幹線は越後湯沢駅(新潟県湯沢町)6時7分の「たにがわ400号」、東北新幹線は郡山駅6時12分発の「なすの258号」で、いずれも出発時間に間に合う乗り継ぎの在来線はない。とはいえ、FREXの販売区間のため、出発駅周辺に住んでいれば毎日の通勤・通学も可能だ。
<8:00出社の場合(※7:45までに東京駅到着)>
島田駅(静岡県島田市)5:27発→静岡駅5:55着/6:22発→[こだま804号]→東京駅7:36着 172.9㎞
長野駅(長野県長野市)6:02発→[あさま600号]→東京駅7:40着 177.6㎞
越後湯沢駅(新潟県湯沢町)6:07発→[たにがわ400号]→東京駅7:36着 163.5㎞
郡山駅(福島県郡山市)6:12発→[なすの258号]→東京駅7:44着 198.6㎞
亀山駅前
これが8時30分就業だと、さらに遠方からの出社が可能だ。東海道新幹線は名古屋6時41分発の「のぞみ72号」に乗車すれば、東京駅に8時15分に着く。東海道本線なら大垣駅(岐阜県大垣市)、中央本線なら瑞浪駅(岐阜県瑞浪市)からでも乗り継ぎができるが、より遠方という条件で挙げれば、東京駅から約315キロ離れた亀山駅(三重県亀山市)になる。
名古屋駅で30分以上待つことになってしまうが、4時54分発の始発普通列車が出ている。
北陸新幹線だと6時18分発の「あさま602号」で時間帯的に乗り継ぎ可能な在来線はまだないが、上越新幹線は新発田駅(新潟県新発田市)5時19分発の列車に乗れば、新潟駅6時7分発の「とき300号」に乗り継ぎできる。
小牛田駅
東北新幹線も東北本線の小牛田駅(宮城県美里町)から5時7分の始発列車があり、これに乗れば仙台駅6時36分発の「はやぶさ2号」に接続でき、337キロ離れた東京駅には8時7分着。オフィスの最寄りが周辺の別の駅でも間に合う可能性は高そうだ。
<8:30出社の場合(※8:15までに東京駅到着)>
亀山駅(三重県亀山市)4:54発→名古屋駅6:04着/6:41発→[のぞみ72号]→東京駅8:15着 315.4㎞
長野駅6:18発→[あさま602号]→東京駅8:00着 177.6㎞
新発田駅(新潟県新発田市)5:19発→新潟駅5:54着/6:07発→[とき300号]→東京駅8:12着 254.0㎞
小牛田駅(宮城県美里町)5:08発→仙台駅5:57着/6:36発→[はやぶさ2号]→東京駅8:07着 337.7㎞
フリーライター。鉄道や飛行機をはじめ、旅モノ全般に広く精通。3度の世界一周経験を持ち、これまで訪問した国は50か国以上。現在は東京と北海道で二拠点生活を送る。
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