女性陣の言い分は?
なぜ女性は「可愛い子」を紹介文句に使うのか? 実際に、女性たちの声を聞いてみた。
「紹介する売りポイントがないから可愛いにしておく。可愛い=普通ということだと思ってほしい」(30代OL)
「例えば巨乳の子でも、巨乳とは言いづらいし、とりあえず可愛いが無難じゃない?」(20代・OL)
「特に意味はない。定形文のようなもの。男を騙すつもりもない」(20代・OL)
「紹介されるだけありがたいと思えよ」(20代学生)
女性陣から身も蓋もない意見が聞けたが、このテーマをさらに深堀りしたいと感じた取材班。そこで、精神科医の春日武彦氏に分析を依頼した。
「まず、『可愛い』という言葉からは、積極的な魅力を示唆しているようなトーンが伝わってきません。すごい美人であるとか、タレントの誰それに似ているとか、目力がすごいとか、あれこれ長所があるとしたら、そこを具体的に述べるのが普通です。だから『可愛い』と表現するときにはせいぜい『そこそこのレベル、あんまり特徴はないけどね』と言っているのと同じだと思います」(春日氏、以下同じ)
言われてみればその通りであり、「あまり特徴のない」という指摘は先ほどの女性からの意見とも合致する。春日氏はさらに深く、見解を述べてくれた。
「『可愛い』というのは、別に容姿のみを指しているわけではありません。仕草が面白い、ドジであるとか、それどころかもはや女性であるだけで『可愛い』のジャンルに収まりかねない。人間、どこか長所はある筈ですから、それを当て込んで『可愛いよ』と言っているのではないでしょうか?」
女性からは否定意見が飛んでくる可能性もあるが、ただおっちょこちょいなだけなのに「可愛い」と表現されるのは多いように思う。やはり、「可愛い」を安易に信じてはいけないのだ。
だが春日氏は、「
誤解してほしくないのですが、これ、悪いのは女性ではなく男性ですからね」と一刀両断した。
「『可愛い子』の紹介文句に大きな期待を抱く人は、言葉の綾が分からない愚か者なのです。『可愛い子を紹介』に騙されるのは、騙されるほうが悪い。その程度の裏読みが出来ない人は、まあ仕事の上でも『そこそこの成果』を上げるのがせいぜいではないでしょうか。おそらくそういった人は、女性に向かって同性から『
いい奴なんだけどさ』と紹介されるんでしょうね」
筆者は今後、「可愛い子」には飛びつかず、クールに受け流すことを誓った。
<取材・文/富田林コタロー>