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<純烈物語>この夏、プロレス界に突如現れた”準烈” と受け身を取った純烈の物語<第58回>

秀逸すぎたネーミングゆえ、気まずさが……

 その一方、あまりに秀逸すぎたため明らかに気まずさも漂い始めた。もしも本当に準烈が選ばれたらどうしよう……ツイッター上で秋山と大石が慌て出すのを見てニヤニヤしつつ、マッスルを通じてDDTファンにも純烈は認知されていることもあり票はどんどん伸びていった。  アンケート締切前日になると、秋山は“#リーダーは大石です”なるハッシュタグをつけて保身に走ったが、最終的には準烈49.1%、NEW EXPLOSION37.3%、Firestar8.1%、ザ・ビギニング5.6%(投票数3422)という結果をもって、ユニット名は「準烈」に決定。7月13日深夜2時34分に発表されるや、4時間後の早朝7時10分に酒井が「マジか!?」と絵に描いたようなダボハゼムーブをいかんなく発揮。  これが芸能界のBPMに乗って昼にはネットニュースとなり拡散され、純烈ならぬ準烈の名前が光の速さで世間に知れ渡った。大人の対応をするべく、秋山は本家に挨拶へ出向くと宣言。  ところが酒井は、違う意味の挨拶と受け取り「戦いたくねーぞ!!」とフラグを振りまくる。こうなると事の真相などおかまいなしに「スーパー銭湯アイドルvsスーパー戦闘ユニット」などと煽られるのが、世の常というもの。その後もトントン拍子で話は弾み、本当に両軍フルメンバーによる御対面が1週間後の7月20日に実現したのだった。  当日の純烈vs準烈も含め、一連の流れはDDTにおける話題を独占。SNSを活用し、紅白出場グループを巻き込むことで世間の関心を集めたのが、プロレスの世界では本格派としての評価を誇る秋山というのが面白い。 「純烈のファンの方々は僕らと同世代が多い。僕はそこに秋山さんがジャストフィットするとは思っていました。ただ、ここまで発信力のある方だとは……」  秋山と同い年の高木も、そう言って唸るしかなかった。DDTも、いかにしてプロレスファン以外の人たちの目に届かせるかをテーマとしてやってきただけに、技術的なものとは別次元のこうした行動力とある種の瞬発力も学ばなければと思ったようだ。
準烈2

準烈サイドは左より大石真翔、渡瀬瑞基、岡谷英樹、秋山準。まるで鏡に映されたかのように純烈勢もピッタリの位置に座る(写真提供:DDT)

 大石をリーダーに立てたということは酒井のポジションとなり、最年長の秋山は小田井涼平のように全体を見てリング上を回していく。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属のお笑いコンビ・てのりタイガーとしても活動し、渡哲也&渡瀬恒彦兄弟が親戚にあたる渡瀬はそのマスクと現在進行形の戦力から白川裕二郎的存在。  今年3月20日にデビューしたばかりの岡谷は、後上翔太にちなみユニットの末っ子。なんともいい感じで“役どころ”も重なった。あとは準烈にも2m級のマネジャーがつけば完ぺきだ。  比較的スムーズに本家公認を取得し気をよくした大石は、母・マチコが純子であることをメンバーに伝え「親孝行」という殺し文句を駆使し曲をリクエスト。紅白出場グループにノーギャラで『愛をください~Don’t you cry~』を披露させ、まんまとスマホで撮影した。  訪問後、動画を母に贈ると大喜び。純烈ファンというのは本当で『愛をください~Don’t you cry~』のCタイプ&Dタイプを発売日前にフラゲ(購入)したにとどまらず、メンバープロデュースのブックレットつきLIP“UBU LOVE”もぬかりなく4人分購入していた。
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秋山のチョップを受け…
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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