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アニバーサリーイヤーを迎えたMaison book girlのサバイブ術_コロナ禍のアーティストたち

コショージメグミ「今だからできる最上級のことを目指して」

――自粛期間中に配信していたYouTubeライブ番組ってコショージさんの発案で始まったんですよね? あれっ!? 私が提案したんでしたっけ? ――と、みなさん言っていましたよ(笑)。 じゃあ言ったのかなあ。もしそうだとしても、そんなに変わった企画でもなかったから、どうして始まったのか、あんまりよく覚えてないんですよね。 ――メンバーがゲームをやったり、メイク術を披露したりするのではなく、過去のライブ映像に副音声的にコメントを寄せる映像を作ることはブクガ的には「そんなに変わった企画でもない」? 「ブクガはこうあるべきだ」みたいな会議をしたわけじゃないんですけど、みんなブクガについて真剣に考えているし、それぞれの考えを尊重した上で活動しているので、なんとなくではあるものの、ちゃんとブクガ像を共有できている気はします。 ――その4人に通底するブクガ像に照らし合わせて配信内容を企画した結果……。 ほかのアイドルさんがやっているゲームやトークを配信するんじゃなくて、過去のライブの振り返りみたいな企画をやったほうがいいんだろうな、ということになりました。
コショージメグミ

コショージメグミ

――これは矢川さんともお話ししたことなんですけど、ブクガのみなさんってグループのあり方に対して本当に自覚的だし、ブクガならではの企画を発信する能力に長けてますよね。 いやあ。今の時代、アイドル自らなにかを発信してなきゃダメだと思うし、逆に“大人”の言うことを聞いているだけのアイドルなんていないと思いますよ。たとえばハロプロって聞くと受動的な子が多いんじゃないかって印象を受ける人もいると思うんですけど……。 ――「つんく♂さんが作り上げたハロプロブランドに乗っかっておけば、まず安泰」と思っているメンバーもいるのかも、なんて気もします。 でもハロプロファンとして見ていると、自分を高めるための努力を怠っている子はひとりもいないし、みんなその姿や自分の魅力を常に発信し続けているんですよね。そういう姿を見ると「私もやらなきゃ」って気になるし、そもそも私自身、こういう活動を始めたころからそういう環境にいましたし。 ――第1期BiSの最終メンバーですもんね。ファーストサマーウイカさんやプー・ルイさん、テンテンコさん、カミヤサキさんと、セルフプロデュースの鬼みたいな人に囲まれていた。 当時対バンしていたアイドルもそういう子ばかりでしたし。だから今回も、自粛期間が始まったばかりのころこそいろいろ悩んだりもしたんですけど、1カ月くらい経ったら「ネガティブなことを考えている場合じゃないな」という気になってきて。それよりも今なにができるのか? その中でも最上級のことはなんなのか? を探す方向に気持ちがシフトしていました。 ――その「最上級のこと」のひとつに6月の配信ライブがあると思うんですけど、あの演出もコショージさんなんですよね? はい。当初はベストアルバムの発売日のライブだからアルバムの曲を全部やろうかな、って漠然と考えていたんですけど、私、それまでほかのアイドルさんやアーティストさんの配信ライブを観たことがないことに気付いて。参考のためにほかの方のライブを2~3本見てみたんですけど、そのとき「あっ、いつものライブとはお客さんの姿勢が違うな」っていうことに気付いちゃったんです。 ――ファンの姿勢が違う? 普通のライブの場合、広いステージのどこを観ても楽しめるし、バーカウンターに飲み物を買いに行っているときにもライブならではの大きな音や空気を楽しめるんだけど、配信ライブってパソコンやスマホの小さな画面から目を離すと、その瞬間、意識や興味が途切れちゃうんですよ。スマホを置いてちょっと飲み物なんかを取りに行くと、もうそこは物理的にも気持ち的にもライブの場ではなくなっちゃうというか。それで「これは『これからなにが起きるんだ?』って、常に画面から目を離せない状況を作らなきゃいけないな」と考えた結果、あんなライブになっちゃいました(笑)。カメラやビデオを使って面白いことをすれば、みんな観続けてくれるんじゃないかな、って。

ブクガをブクガたらしめる「ちょっとした不具合」

――ああいう配信ライブってやっぱり仕込みは大変なのもなんですか? カメラを入れたリハーサルは当日に1回しかできなかったし、そのときになって事前に用意していたスマホの電波が舞台上では入らないことに気付いたり、本当にわからないことをたくさん抱えたまま本番を迎えました。もしあのまま替えのスマホもネットにつながらなかったら、私、どうしたんだろう?(笑) ――我々の目には緻密に作り込まれたライブに映っていたけど、実は現場で起こるトラブルに即座に対応しながら配信する、まさに“ライブ感”あふれたライブだった? だからあの配信ライブをやってみて、ブクガのブクガらしさって「ちょっとした不具合」が起きるところなんじゃないかなって気付きました。お客さんを入れたライブでも、配信ライブでも私たちは常に徹底的に準備をしておくんだけど、それでも当日にはきまってなにか「不具合」が起きるので。それは機材トラブルのときもあるし、6月の配信ライブのように「水の映像と私たちの映像を混ぜて水中でパフォーマンスしているように見せましょう」とは言ったものの、本番中私たちはどう映っているのか確認できないみたいなこともありますし。 ――そういう偶発的なできごと、コショージさん言うところの「不具合」も含めてエンタテインメントに昇華させてこそのブクガだ、と。 そうですね。 ――であれば、ファンもその「不具合」を待っているきらいがありますよね? 矢川さんは今回のベスト盤『Fiction』のリリース前「ブクガだからベストといえども一筋縄ではいかないんだろうな」って言われたとおっしゃってましたし。 サクライさんも最初、普通のベストアルバムを出すつもりだったのに、そういう声を聞いて「がんばらなきゃ」ってなったみたいです(笑)。 ――その期待ってプレッシャーになったりしません? 確かにメンバーやサクライさんにとって十字架になることもあるけど、背中を押してくれることもあるし、今回はそうなった気がします。私たち自身、過去の曲を今の声で歌ってみたかったから、ボーカルの再レコーディングは全然大変じゃなかったですし。もし大変になるなら、これからだと思います。ボーカルを録り直した曲は歌割りも原曲と違うから、ライブでやるときには振り付けも変わってくるので。 ――そうか。誰かが加入したり、脱退したりしたわけじゃないのに、歌割りが変わったから、今までマイク片手に歌っていたパートのダンスを覚えなきゃいけないのか。 すごく地味だし、ヘンな努力なんですけどね(笑)。でもそのヘンなことをやってこそのブクガなんだろうな、とは思っています。 ――ちなみにベスト盤を通じてあらためてご自身の歴史を追ってみた感想は? 私たち自身、少しずつだけど表現の幅を広げられるようになっているんだな、と思ったし、サクライさん自身の歴史も刻まれている印象も受けました。作詞家・作曲家としてだけでなく、バンド(カオティック・スピードキング)のメンバーとして活動したり、いろんな経験をなさっているので。そこで得た知識やテクニックもブクガの楽曲に反映されている感じがしました。 ――その4人とサクライさんの歴史が刻まれているアルバムなのに、なぜそのタイトルは『Fiction』なんでしょう? へっ!? そのまんまなつもりだったんですけど……。 ――5年の歩みは作りものだった? いや、私たち自身がじゃなくて、楽曲のイメージがですね。ただそうやって「ブクガって作りものだったの?」って思いながら聴いてもらっても面白いな、と思っています。よく曲のタイトルや歌詞の意味を聞かれるんですけど、私たちの楽曲ってそれそのものが「答え」のつもりなので。それを聴いて、みなさんにはみなさんなりの「問い」を探してほしいんです。 ――たとえば「闇色の朝」を聴いて楽しくなるもよし、悲しくなるもよし、ということ? そうですね。ほかにも「言選り」であればAIが作詞しているわけですから。 ――ロボットがなにを考えているかなんて、プレイヤーには説明のしようがない。だからみんな好きに楽しんで、と。最後に、6月に集大成的にベスト盤をリリースして、さらに8月11日の配信ライブ第2弾も終えた今、やってみたいことってあります? 配信ライブにはまだまだ可能性を感じているので続けたいのと、あとは去年発売されたポケモン(Nintendo Switch『ポケットモンスター ソード / シールド』)をずっとやっているんですけど、このあいだ新しい島がダウンロードコンテンツとして登場して。そこでは色違いのポケモンを孵化させることができるようになったので……。 ――2020年秋の目標はポケモンを出産すること?(笑) がんばって色違いのカモネギを産みます!
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「Maison book girlってめっちゃカッコいいじゃん!」
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##(商品情報~アルバムタイトル)
『Fiction』

##(商品情報~収録内容1)
【CD】
01. bath room_
02. snow irony_
03. lost AGE_
04. cloudy irony
05. river
06. sin morning
07. faithlessness
08. townscape
09. rooms__
10. 言選り_
11. レインコートと首の無い鳥
12. 狭い物語
13. 夢
14. 長い夜が明けて
15. 闇色の朝_
16. 悲しみの子供たち
17. Fiction
18. non Fiction

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