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コロナ後遺症の29歳「1か月たってもチョコの味がわからない」医師が解説

息が苦しくてもリハビリで改善する可能性はある

「おそらく大牧さんの肺では、次のような状況が考えられます。まず、新型コロナウイルスによって肺で炎症が起きます。肺は肺胞と言う小さな袋の集まりなのですが、肺胞に水が溜まって息苦しくなる場合と、肺胞の周りの“間質”という部分で炎症が起きて、肺胞が膨らみにくくなって息苦しくなる場合の二種類があります。今回の場合は時間の経過からすると、後者の場合が考えられます。治療にはリハビリが効果的な場合があります」  通常、損傷した肺の細胞が新しく再生することはあまりない。だとすれば、どうやって息苦しさが改善するのだろうか。 「細胞自体が再生しなくても、肺の血流量が増えたり、血管が伸びたりして足りない部分を補ってくれる可能性があります。また、リハビリによって横隔膜などの呼吸に関係する筋肉を鍛えたり、カラダの動きを工夫することで徐々に呼吸しやすくなる事が期待できます」

末梢神経の改善にはビタミンB群を摂取

ビタミンB群 まず新型コロナに感染しないことが第一だが、これだけ感染者数が増えていればかかってしまう可能性もある。だからこそ、日頃から肺の筋肉を鍛えておくことが重要だ。 「新型コロナウイルスに感染して肺炎が起こってしまうと、どうしても息苦しくなるのでそこからリハビリは大変かもしれません。そこで、呼吸のための筋肉をあらかじめ鍛えておきましょう」  呼吸のための代表的な筋肉は横隔膜。簡単なトレーニング方法も聞いた。 「腹式呼吸の練習をおススメしております。これは、呼吸筋のリハビリトレーニングにも使われている方法なのですが、 ①口をすぼめて息を吐く ②限界の一歩手前まで息を吐き続ける ③鼻から息を吸う(というより、吐き切った直後に、勝手に入ってくるイメージ) ④①~③を繰り返す ⑤余裕のある人は仰向けになりながら行う(辛い人は座りながらでOK) これらを毎日、気が向いた時に5~10回やるだけでも、呼吸する時の筋肉が鍛えられるのでオススメです。後遺症にとってプラスになるエビデンスはまだありませんが、改善効果は期待は出来ますし、マイナスにはなる事はありません(当然やり過ぎは禁物ですが)」
 最後に、感染して後遺症に悩んでいる人でも、「一生治らないかも……」と悲観的になることはない。できることはある。 「味覚と嗅覚が戻っていない人なら、末梢神経の再生に関係しているビタミンB群を意識して摂取してください。たとえば野菜や果物を意識的にとるとか。息苦しさを感じている人は、筋肉をつけるためにたんぱく質を積極的にとるのもいいでしょう。それとともに、息苦しくならない範囲でいいので、階段を使うのも効果的。無理のない軽度の運動を続けていくことが大事です」 <取材・文/すずきおさむし>
現役の内科医師。日本内科学会、日本医学教育学会、日本病院総合診療医学会、日本心療内科学会所属。株式会社リーフェの代表取締役を務める。YouTuber「ドクターハッシー」として健康情報を発信しつつ、未来の医師を育てる医学生のための個別指導塾「医学生道場」の代表を務める。 Twitter:@karada_plan youtubeチャンネル:ドクターハッシー
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