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『梨泰院クラス』セロイの信念はなぜ強固なのか? 折れない信念のつくりかた

他人の影響が人を強くする

 ソンヨルはデヒが経営する「長家」に在職していた時に、ある孤児院の支援を担当していました。この支援がデヒに「会社のPRに繋がらない」と判断されて打ち切りになった時、その非情な判断に憤りを感じたものの、ワンマン経営のデヒに対して何も言えずにいました。  一方、セロイは「たとえ自分が退学になるとしても、いじめを行っていた相手に謝罪はできない」と言って、デヒの土下座の要求を突っぱねます。自分ができなかった信念を貫くことを、自分の息子が果たした。だからこそ、ソンヨルはセロイが退学に追い込まれ、自分も退職に追い込まれても、そのことでセロイを恨むことなく、むしろ誇りに感じていたのです。  セロイはそうしたソンヨルの内面を知りませんでした。自分のせいで退職する羽目になったことについて、セロイが「ごめんなさい」と謝ると、ソンヨルは「これからも信念を貫けよ」と励ましました。この励ましに心を揺さぶられたセロイは、実際に自分の信念を貫いて生きるようになります。  セロイがソンヨルから受けた影響は「自覚」です。セロイの家には、「信念を持って生きろ」という家訓があります。セロイはその家訓をもともと意識していましたが、父親とのやりとりを通して、より強く意識するようになり、それが彼の行動規範になりました。この「信念を貫く」という行動規範があるからこそ、どんな窮地に陥っても、理不尽な土下座の要求を突っぱねることができるのです。  このように私たちには常に頭に浮かんでいる思考が何かしらあります。この自分の思考を自覚すると、そのために積極的に行動できるようになります。そして、自分の思考を自覚させてくれるのは他人です。  誰かに影響を受けると、その人の顔が事あるごとに頭に浮かぶようになります。特になにか悩み事がある時に、誰かの顔がぱっと頭に浮かんでくると、「自分はこうするんだ」という思いが強くなったり、飛躍的な成長を遂げたりします。セロイも父親とのやりとりをたびたび振り返り、その度に次の行動に踏み出しています。これは行動に必要な「勇気」や「自信」や「信念」や「情熱」が単なる観念ではなく、「人物の影響」によるものだということを物語っています。  行動は「人物の影響」を受けた結果です。頭でいくら「こうした方がいい」「こうすべき」といった理屈を考えても、行動できるようにはなりません。理屈の上ではそうした方がいいとわかっていても、「人物の影響」がなければ行動できないのが人間です。  勉強をした方がいいのはわかっているけれど、なぜか勉強する気にならない。運動をした方がいいのはわかっているけれど、なぜか運動する気にならない。仕事をした方がいいのはわかっているけれど、なぜか仕事をする気にならない。本当は相手の要求を拒んだ方がいいのだけれど、なぜか拒めない。こうした悩みは、「人物の影響」の軽視に原因があります。  セロイの体験は平たく言えば、「理不尽との向き合い方」です。学校や会社といった社会に身を置いていれば、理不尽に直面する瞬間は必ずやってきます。その理不尽に抵抗できるかどうかは、自分が今まで受けてきた「人物の影響」をどれだけ自覚しているかにかかっています。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

人生を変えるマインドレコーディング

人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ!

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