ライフ

サンドウィッチマンの伊達は、なぜ脱サラして芸人になったのか?

当たり前のことが人生を変える

 祖父に影響を受けた伊達の心情は「当たり前」です。彼は「人はいつか死ぬ」という当たり前に気づいたことで、「好きなことをして生きたい」と考え、お笑い芸人になる決心をしました。  このように「当たり前」に気づくと、自分の価値観が一変して、今までと異なる行動ができるようになります。私たちは「複雑で難しいこと」がわからないからではなく、「シンプルで当たり前のこと」に気づかないからこそ悩みます。そして、その当たり前に気づかせてくれるのは他人です。  富澤と伊達は高校のラグビー部で知り合いました。そのラグビー部は大会優勝を目指すよりも、仲間と馬鹿話をして盛り上がるタイプの部活でした。伊達も富澤もその時のメンバーについて、「全員が芸人になってもおかしくないほど個性的だった」と振り返っています。  そもそも伊達は富澤の誘いを頑なに断っていたわけではありません。伊達は高校時代から、人を笑わせることを楽しんでいました。だからこそ、富澤も「脈あり」と感じて、何度も誘っていました。しかし、だからといってすぐに「お笑い芸人になる」と考えられるわけではありません。  口利きしてくれた父親や、一緒に働いている同僚の顔が浮かべば、いま勤めている仕事を選びたくなります。高校時代のメンバーや富澤の顔が浮かべば、お笑い芸人に魅力を感じます。その二者択一で揺れていた伊達の背中を押したのが、祖父の死だったのです。  行動は「人物の影響」を受けた結果です。「好きなこと」や「やりたいこと」といった物事だけでは、やる気は湧きません。それにプラスして、「人物の影響」がなければ行動できないのが人間です。  好きなことをやればいい、やりたいことをやればいい。確かにその通りなのですが、それができないからこそ人は苦しみます。「本当はこうしたい」という思いがありながら、何もできないまま何年もくすぶり続けてしまう。こうした行動不足は、「人物の影響」の軽視に原因があります。  伊達の体験談は平たく言えば転職です。転職というと、賃金や労働時間といった労働条件について考えるかもしれません。普通に勤めるならば、そうした条件も大切です。しかし、今までとまったく異なる分野に飛び込むのだとしたら、「人物の影響」が必要になります。  特に伊達の場合、ただ「働く」というだけでなく、「自分の人生をどう過ごすのか?」というより大きな問題が含まれています。こうした問いかけに影響を与えるのは、家族で最初に亡くなることの多い祖父母です。人は死に直面した時にこそ、生について考えるようになるからです。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

人生を変えるマインドレコーディング

人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ!

1
2
おすすめ記事