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大阪都構想「仁義なき最終決戦」維新のグレーなPR戦略に批判も噴出

菅首相が政務官人事で自民党府連を切り崩し?

大阪都構想 だが、維新には強い援軍がいる。 「上沼恵美子さんをはじめ、関西お笑い界の大御所は総じて都構想支持者。情報番組では芸人たちの『都構想で大阪は変わる』『吉村知事頑張れ』という賛美に近い内容が垂れ流しになっている。制作側からしても都合がいい。吉村知事を出せば数字をとれるので」(在阪テレビ局ディレクター)  おまけに、中央にも超強力な味方がいる。橋下徹元市長に、松井氏、菅義偉首相の距離の近さは広く知られた話だ。 「次期総選挙後には維新に大臣ポストを用意して連立を組むという噂も駆け巡ったように、松井さんと菅首相が昵懇なのは周知の事実ですが、松井さんはその関係をよくも悪くも利用している。だから、今や維新内部は国政進出希望者だらけになっているんです」(維新の会所属国会議員)  この維新と政権の近さに忸怩たる思いを募らせているのが、都構想反対を訴える自民党大阪府連だ。閣僚人事では、大阪に縁もゆかりもない井上信治議員を万博担当大臣に指名。さらに、府連の切り崩しとも見られる人事を断行した。 「大阪選出の国会議員のほぼ半分が菅政権で政務官に任命されました。政務官“適齢期”の当選2~3回生が多いのは事実ですが、政務官ポストの4分の1を大阪が占めるのは異常。政務官になると東京を離れにくく、反都構想運動が満足にできない。菅さんは住民投票前に府連の分断を狙ったのでは?と囁かれています」(府連幹部)

各地で行われている街頭演説を見れば勢いの差は歴然

 自民所属の市議・府議らは目下、橋下市政以降の維新体制下での行政サービスの低下を指摘しながら、都構想反対を訴えている。 「700億円もの予算を削って、市バスの減便や高齢者パスの廃止を進めたのは維新なんです。職員をリストラして市下24区内の役所の窓口業務を、維新の顧問の竹中平蔵氏が会長を務めるパソナなどに外注するようにした結果、’19年にはパソナ社員が窓口手数料の1400万円を着服するなど、委託事業者によるトラブルが多数報告されるようになった。維新は私学無償化や小中学校の給食費無料化の実現などをアピールしていますが、それ以上の弊害も起こしているのです」(自民所属府議)  だが、各地で行われている街頭演説を見れば、勢いの差は歴然だ。特に吉村知事の人気は圧倒的。大阪市南部・住吉区の住宅街で演説を行った際には、10歳の小学生までもが「都構想になったら小学校の名前は変わるんですか?」と知事に質問をぶつけたほか、18歳の女子高生が「住民投票で負けたら吉村さんは辞めてしまうんですか?」とマイク片手に知事を気遣っていた。  同じく南部の阿倍野区で居酒屋を経営する男性(50代)は「あべのハルカスができて居住区としての価値が高まったのに、他の区と一緒になったら資産価値が下がる」と不満を漏らしていたが、維新関係者は「5年前は北側に比べて所得水準の低い南側は反対多数でしたが、今回は賛成の声を多くいただいている」と話す。背景には物騒な“場外戦”もありそうだ。 「票の買収目的なのか、9月には反対派が幼稚園に郵送で現金を送るという珍事が発生し、10月中旬には維新所属の市議が一般男性から暴行を受ける事件も起きました。さらに、れいわの山本太郎代表が行った街頭演説は道路交通法違反に当たるとして、大阪府警が捜査を進めている。反対派の活動がエスカレートすると、自民党府連の支持も薄れる」(在阪記者)  住民投票まで残すところ3日。さらに賛成派と反対派のバトルは激化しそうだ……。
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都構想・住民投票をめぐるトラブルの数々
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