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大阪都構想「仁義なき最終決戦」維新のグレーなPR戦略に批判も噴出

都構想・住民投票をめぐるトラブルの数々

大阪都構想9/17 都構想「賛成」広告で無料子育て情報誌回収 大阪市立の保育所や幼稚園で無料配布される情報誌に大阪維新の会が都構想への「賛成」を求める全面広告を出したところ、政治色の強い広告が規定に反するとして大阪市が発行された5万部すべてを回収するよう命じる騒動に発展。 9/29 府市職員が都構想「賛成」誘導動画を作成 府市の共同部署「副首都推進局」作成の都構想PR動画をめぐって、職員が「賛成に誘導するため」につくったと発言していたことが、市が公表した議事録で発覚。なお、維新作成の都構想PRチラシの問い合わせ先はすべて「副首都推進局」のまま。 10/6 維新のアメ村ジャックに市建設局が「NO」 10月1日から維新は市内の繁華街・アメリカ村の街路灯に「変えるぜ、大阪」「都構想にYESを。」などと書かれたPR旗を45本掲出したが、大阪市建設局が「特定政党を広告する旗は市の道路占用許可基準に違反する」として撤去を命じることに。 10/12 住民説明会の動画を市HPから削除 大阪市主催で行っていた都構想に関する住民説明会の動画を市のHP上で公開していたが、「役所ぐるみで政治に関与していると誤解を与える」(松井市長)として削除。ただし、市役所のホールでは今なお都構想に関する事実上のPR動画を放送中。 10/19 吉村知事FM大阪2回出演は放送法違反? 10月12、19日と2回にわたってFM大阪の『LOVE FLAP』で吉村知事は都構想についてアピールしたが、放送の中立性を求める放送法第4条に抵触するとして反発を呼ぶことに。なお、この番組のスポンサーは熱烈な維新支持者だ。

都構想でお金は減り行政サービスは低下する

 都構想で大阪市はどう変わるのか? 松井市長らは府と市の二重行政が解消され、「住民の声が届きやすくなる制度」が実現すると説き続けている。対して、「百害あって一利なし」と切り捨てるのが、藤井聡・京都大学大学院教授だ。 「今年8月の市議会本会議で松井市長は『今は二重行政はない』と言い切っています。実際、二重行政解消による財源捻出効果はあったとしても年間数億円というのが、専門家の共通認識。移行にかかるランニングコストを考えれば“赤字”になると試算されている。  一方で、大阪市の廃止によって市の税収の4分の1にあたる2000億円が都市計画などの権限とともに府に吸い上げられます。松井市長らは『特別会計で管理するので特別区以外には流用できない』と主張していますが、そういう制度設計はなされていない。過去の都構想案には特別会計化が盛り込まれていますが、半分の1000億円は一般会計で管理すると書かれています。  つまり、特別会計化は単なる口約束で、実際には税収が特別区以外に流用されるのは決定的。なぜなら、府議会における市内選出府議の割合は3割。大阪市民に選ばれた府議たちは議会で少数派のため、“市外”の府議の要求を阻止できないんです。付け加えると、4つの特別区の役所は事実上、4つの“プチ市役所”。結果、職員1人あたりの仕事量が急増して行政サービスの質が低下するのは間違いありません」  お金は減って、サービスが低下するようなことがあれば、特別区民の反発は必至だ……。 【京都大学大学院教授・藤井 聡氏】 公共政策論を専門とし、’15年の住民投票の際にも「反都構想」を主張。「政令指定都市の市民の高度な自治を奪うだけの詐欺的構想」と手厳しい。 <取材・文/栗田シメイ 取材・撮影/池垣 完(本誌)>
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