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アルピニスト・野口健が緊急提言!尖閣諸島を守る切り札

アルピニスト・野口健氏は今回の動きをどう見るか?

野口健氏

野口健氏

 世界7大陸最高峰の最年少登頂記録を更新するなど、一流のアルピニストとして活躍しながら、エベレストや富士山の清掃登山など環境活動家としての顔も持つ野口氏は、今回の動きをどう見るのか。 野口:初めて尖閣で高画質の衛星画像による環境調査を行うというが、上陸しなければ正確なことはわからず、意味はない。環境省の官僚にとって尖閣はタブーで、歴代の環境相も一切タッチしてこなかった経緯がある。  民主党政権下の’10年、中国漁船衝突事件が起きた直後、自民党の石原伸晃幹事長(当時)に請われて尖閣の環境問題についてレクしたんです。すると彼は国会で、「危機にあるセンカクモグラの保護のため、尖閣への上陸許可を出せ!」と政府に厳しく迫った。  その後、’12年の総選挙では、自民党は「尖閣に公務員を常駐」することを公約に盛り込み、選挙で圧勝して政権に復帰すると、いい具合に石原さんは環境相に就任した。「これはイケるぞ!」と意気込んだんですが、彼は上陸どころか、尖閣に一切触れようとしなかった……正直、ガックリきましたね。  尖閣の環境問題は本来、環境省の所管で、外務省マターではないが、高度な政治マターになっているのも事実です。だから、官僚のアレルギーは特に強い。

だからこそ小泉環境相の発言には驚いた

野口:’13年にセンカクモグラを守る議連の会長を小池百合子衆院議員(当時)が務めていた頃、議員会館での勉強会では、小池さんがいなくなると環境省の職員がスッと近づいてきて「上陸の要望書を出すのはやめてください」と耳打ちしてくるくらいで(苦笑)、この問題はずっと動いてこなかった。  だから、小泉環境相の発言には驚きました。まずは世論や政界、それに中国の反応を見るため、観測気球を打ち上げたのでしょう。そもそも、日本政府は尖閣に領土問題は存在しないという立場なので、自国領土に上陸することに何の問題もないはず。上陸調査はできないとするなら、領土問題の存在を認めることになる……。 「あくまでも日本国内の生態系調査」と粛々と上陸調査を進めるべきなのです。中国の反応が心配なら、調査隊を国際チームにして、日本一国のためだけの上陸調査でないことを世界にアピールすればいい。  こうしたことを念頭に小泉環境相が発言しているなら、今後、注目すべきことになるでしょうね。
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尖閣の生態系悪化は2頭のヤギからはじまった
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