20年ぶりに旧友と再会
しかし、また数時間後にはまたここから出なくてはならなかった。夜から大阪在住の旧友である光洋と飲みに行く約束があったのだ。彼とは昔、TBSの番組の企画で中国の北京で約40日間にわたっていっしょにドミノ並べをしたことがあった。会うのはそのとき以来、約20年ぶりの再会だった。
地下鉄を乗り継いで待ち合わせ場所の玉造駅に到着する。そこでしばらく待っていると、頭を丸刈りにした男がやってきて言った。
「おう、ていじ。久しぶりやな」
光洋だった。その顔を見た瞬間に笑いがこぼれてしまった。髪型以外、あの頃とほとんどなにも変わっていなかった。
駅からすぐ近くの立ち飲み居酒屋「嬉囲家」に入る。店は常連客で賑わっていた。僕はそこで日本酒の熱燗を飲みながら数時間前に起こったばかりの出来事を話した。とにかく誰かに聞いてもらいたかった。
「それは警察を呼んだほうがよかったな」
「保険にも入っといたほうがええで」
光洋だけでなく、常連客たちも親身に話を聞いてくれた。しかし、話はやがてくだらないバカ話に移っていく。店内に響く笑い声。常連客も僕のような一見客も関係なく、いっしょになってバカみたいに笑い合う。
これもまた大阪か……。
この日は光洋のおごりで飲ませてもらうことになっていた。熱燗の徳利が空になると、僕はすぐにおかわりを注文した。

嬉囲家の常連客たちと(旧友の光洋は顔出しNG)
【41日目】
<支出>
食費:1723円
洗濯乾燥:500円
合計:2223円
<収入>
4870円
残金:1万5802円
【42日目】
<支出>
食費:1472円
メイドカフェ:2200円
合計:3672円
<収入>
5650円
残金:1万7780円
【43日目】
<支出>
食費:864円
電車賃:560円
宿泊費8泊分:5304円
弁償:9000円
合計:1万5728円
<収入>
0円
残金:2052円
<取材・文/小林ていじ>
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