お金

借金500万円の多重債務者でも「コンビニでカネを返す瞬間は恥ずかしい」

金額が選択できない

 1万円札だけ持ってきたから、開いた札入れに放り込む。4,000円だけ。4,000円だけ返したらまた借りれるようになるかもしれない。一縷の望みが成就するかもしれない瞬間は、ものの数秒だが3分くらいに感じた。  金額が選択できない。選べるのは追加入金と、10,000円の返済だけだった。  しばらく金を返しにATMに行ってなかったので忘れていた。コンビニのATMで金を返そうとするとお釣りが出ない。  ホットスナックを買って10,000円を崩し、お釣りを全部1,000円札でもらう。このうっかりはやりがちなので、そろそろ返済日が近づくみんなへの注意喚起だ。貧乏人ほど繊細なので、ここで10,000円が吸い込まれて絶望に落ちる可能性もある。多重債務者は綱渡りの生活を強いられているのだ。  プロミスもアイフルも4,000円を受け入れてくれた。もしや、と思い借り入れ可能額を調べると、それぞれ3,000円の借り入れが可能だった。  2,000円も損してしまったが、心は晴れていた。「筋」を通した気がして、コンビニの中で胸を張った。

催促は続く

 僕はもう信用情報が真っ黒に汚れてしまっているが、自己破産は今のところ考えていない。これはもうランナーズハイみたいなものだ。借金の返済という、当たり前のスタートラインに立つのを応援されているうちに、元々博打で作った借金を破産で踏み倒す事に抵抗ができてしまった。  悪目立ちすると変な見栄が生まれてしまう。しばらくは、またSPAが金を貸してくれたりするまでは博打は我慢すると思う。  真面目な僕は、借入枠の6,000円をすぐに引き出し、プレミアムモルツ・プラチナとやげん軟骨を買った。最近は家で食って飲むのが美味しい。郵便受けに入っていたセゾンカードの督促状は捨てた。 犬 酒〈文/犬〉
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
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