久々のギャンブル回
ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。
それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。
「マニラのカジノで破滅」したnoteで有名になったTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は26回。
今回は、29日のジャパンカップについてです。

犬のTwitterプロフィール
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写真はイメージです
この連載が「負け犬の遠吠え」というタイトルなのはご存知だろうか?
ギャンブルで負けに負けて借金を抱えるも、それでもきっと来る逆転を求めて勝負を続ける悲しい愚か者の言い訳、心情、生活……そういうものを綴る予定だった。そんな内容を示唆するタイトルをつけて連載を始めた。
今の僕は借金に押されながらせっせとアルバイトをして、無駄金も使わず、ただ貧乏であるが希望は残っている、などの自分への慰めを壁に向かって唱え続けているだけになってしまった。なぜか。勝てなくなって折れたからだ。
「最近ギャンブルしてないですね」
「適当にしても負けすぎですよ、かわいそう」
SNSを定期的に見てくれているSPAの人からはこう言われる。貧乏人が派手に散っていく様を載せたいはずが、道半ばで立ち止まって「普通の生」にしがみつこうとしているのだ。無理もない。拾ってしまった手前、ポイと捨ててしまうのもかわいそうなのだろう。
「令和に入って全然勝てなくて、もうギャンブルはしばらくしないです」
本当に勝てないからやめていた。パブロフの犬も舌が乾いて引っ込めるほど負けた。負けたというよりはここ半年間、脳汁が出るほどの勝ちを味わっていない。餌の味を忘れてはヨダレも出ない。パブロフは、いつの間にか僕を置いてどこかに行ってしまった。
しかしこれでギャンブルを始めるような僕ではない。もうこの別れは長い決別に近い。ギャンブルが勝たせてくれるまではホイホイと尻尾を振らないことにしたのだ。悪いが僕はこれからもこんな感じの中途半端な主張の無い記事を書き続けて扶桑社にぶら下がり続け……。
「5万。5万貸したとしたら競馬、やりますか?」
「え!?いいんですか!!やります!!」
そろそろ頃合いかな、とは思っていた。ちょうど勝てると思った時期に、たまたま乗りたい人間がいたようだ。金を借りれるなら話は変わる。この運命は潮目を変える。僕はそういった小さな変化を見逃さない。借りれたから賭けるのではない。賭けるべきタイミングでたまたま金を借りれた。そういうことだ。
彼は僕の財布事情を知っている。金を貸してしまったら飛ぶことはなくとも500万近い他の借金返済の行列の一番後ろに立つことも。実質無利子無期限のこの融資、せっかくだから無駄にはしたくない。
「もちろん本気で考えてください」
と言われたので、他力本願運否天賦でやってきた素人が借りた金を競馬で増やしてなんとか凌ぐために、自分なりに考えることにした。ちなみに競馬はその場のノリと人気順、他人の予想の乗っかりしかしたことがない。競馬新聞もビッグコミックの表紙みたいな2頭身の競馬記者の買い目を見るためだけにしか買わない。贅沢に見えるかもしれないが、競馬はこうして他人に乗っかることで博打としての純度が上がると思っていた。僕はバカラや宝くじみたいな感覚で競馬を買い続けていた。