更新日:2021年01月02日 10:17
エンタメ

<純烈物語>「漢字一文字で表すと“嘘”と“恥”」リーダー酒井一圭が吐露したコロナ禍の2020年<第78回>

ライブをいっさいしない決断を下した裏で……

「俺は大地震とかになった時、人々とは逆の方向にいくタイプなんでしょうね。すべてのエンターテインメントが止まっちゃう中で、こんなチャンスはないよという発想だったんで。だからみんながどうするどうする!と言っている間に、純烈やることなくなっちゃったんだけどそっち空いてる?って連絡して。当然、向こうも空いているから、じゃあ飯食おうぜとなってその後につながっていった。  ただ、持っていたチケットを払い戻しして、延期となったのがまたそれも払い戻す。それが4月、5月と続いてゴメンという思いがあって。払い戻した揚げ句中止というのを思うと、それは嘘の中でやっていることになるわけだし。関係各所にしたらそれぞれの事情があってのことなんだけど、SNSでファンの人たちの払い戻しになって哀しいというのを見てきて、自分の中にズキズキと刺さっていたんだと思う」  この感覚、どこかで味わったよなと思うと、純烈結成へ走っていた頃の自分が蘇ってきた。メンバーの首を縦に振らせるべく「もうデビューが決まっているから」「俺たち、紅白に出られるって!」と確信犯的に空手形(当時は)を切りまくった。  そこまでしてでも純烈を継続させようとするのが、自分的には恥ずかしいし照れくさい。2020年を漢字一文字で表すと“嘘”あるいは“恥”になるというのは、そういう意味だった。  そんな酒井の話を聞いていると、性分的には純烈結成時となんら変わっていないのに気づかされる。よけいなことや不測の事態がなければつかなくてもいいのに、そういう問題が待ち受けているからみんなを守るために嘘をつく。そしてどうやら、それは宿命らしい。

占い師曰く「純烈の“烈”の字は災いを呼ぶ」

「この前、占い師さんに見てもらったらメンバーの名前はみんないいのに“純烈”だけが気になるって言われて。いろんな災いがあってそれをなんとかして上がっていくんだけど、いちいち災いは訪れる。でも“烈”を“列”にすれば落ち着くと。俺は、下の点4つを捨てたくなったんだけど『何かがあるから純烈っていうのは魅力的であって、それを乗り越えようとするからみんなパワーを与えられるんだ!』って山本さんが熱弁を振るうの。  それを聞いた時に、災いが起きるたびに爆弾処理班のごとく命懸けでどっちの線を切るか?ってやるんだなって思って。ただ、自分もそれで名をあげてきたのは事実だし、これが俺の芸風なのかなと思って。酒井一圭って、嘘と恥なんだよねえ」  まるで映画『ハートロッカー』の世界である。酒井一圭は、芸能界の爆弾処理班だったのか。そして、そんな境遇から離れようともしない。  こちらから「それは嘘には当たらないし、ましてや恥と思わなくていいのでは」と振ったところで、感覚の問題だから他者に言われて変わるようなものとは違う。だから自分が最後まで向き合っていくことなんだと酒井は認識するのだ。  今になってそれを言うか!なのだが、実は「夢は紅白、親孝行!」と掲げた上で実現させるのも「チョー恥ずかしい」となるらしい。自身の中にある100%の真実を晒すことで、本当の自分を見られてしまうというのが理由だ。
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「アソコより内臓を見られるほうが恥ずかしい」
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(すずきけん)――’66年、東京都葛飾区亀有出身。’88年9月~’09年9月までアルバイト時代から数え21年間、ベースボール・マガジン社に在籍し『週刊プロレス』編集次長及び同誌携帯サイト『週刊プロレスmobile』編集長を務める。退社後はフリー編集ライターとしてプロレスに限らず音楽、演劇、映画などで執筆。50団体以上のプロレス中継の実況・解説をする。酒井一圭とはマッスルのテレビ中継解説を務めたことから知り合い、マッスル休止後も出演舞台のレビューを執筆。今回のマッスル再開時にもコラムを寄稿している。Twitter@yaroutxtfacebook「Kensuzukitxt」 blog「KEN筆.txt」。著書『白と黒とハッピー~純烈物語』『純烈物語 20-21』が発売

純烈物語 20-21

「濃厚接触アイドル解散の危機!?」エンタメ界を揺るがしている「コロナ禍」。20年末、3年連続3度目の紅白歌合戦出場を果たした、スーパー銭湯アイドル「純烈」はいかにコロナと戦い、それを乗り越えてきたのか。

白と黒とハッピー~純烈物語

なぜ純烈は復活できたのか?波乱万丈、結成から2度目の紅白まで。今こそ明かされる「純烈物語」。

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