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虐待、被災、うつ病…これでも貧困は自己責任か? 25歳男性の過酷すぎる半生

壮絶だった施設の人間模様

「生活保護の申請方法も、NPOの貧困施設のことも、親から居場所を知られないように行う住民基本台帳の閲覧制限のかけ方もフォロワーの方から教わりました」  この時の持ち物は3日分の衣服と、なぜか茶碗やコップなどの食器類だった。 「すぐに揃えられるのになぜか絶対必要だと思っていて。後から冷静になってどうしてだろうと、ケースワーカーと一緒に笑いあいました。思い出の品なので今でも手元にあります」

「すぐに揃えられるのになぜか絶対必要だと思っていて。後から冷静になってどうしてだろうと、ケースワーカーと一緒に笑いあいました。思い出の品なので今でも手元にあります」(Dさん)

 2019年11月、ほぼ着の身着のままで関東圏に移り、NPOの運営する施設に身を寄せた。生活保護費11万円のうち9万円ほどを施設に渡し、住環境を整えてもらう。一人部屋の個室に、病院食のような野菜中心の味気ないワンプレートメニューが続き、ラーメンやチャーハンに飢えた。60人ほどの共同生活だったが、施設利用者たちはいずれも社会の辺縁に追いやられてしまった人々だったという。 「将棋の真剣師(賭将棋で身を立てる人)だった方、元暴力団関係者、薬物使用者、おそらく知的に障害のある方……年上の人たちばかりでした」  半年ごとに契約を更新する決まりになっていたが、なかには十年間更新し続けている古株もいた。施設を終の住処とし、亡くなってしまう人もいた。突然失踪し、強盗で捕まってしまった人もいた。

盗難騒ぎは日常茶飯事

 利用マナーも劣悪だった。鍵を開けたままにしておくと勝手に自室に入られる。利用者同士での盗難騒ぎは日常茶飯事で、スマホを持っていることを隠し通すのも一苦労だったという。 「施設でスマホを持っている人は自分を含め三人いたそうなんですが、もし窃盗騒ぎがあれば『一体誰だ?』と、犯人探しのようになってしまうんです」

施設利用者の似顔絵。あまりにも極限の環境だったが、本人としては親と同居していた期間が人生で最も辛かったのだという。「結局施設から出てしまえば他人ですから。親は一生関係があるもので、呪いのようなものです」(Dさん)

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生活保護受給を非難されて…
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