お金

借金返せの電話が止まった正月、年賀状には「電気を止めます」の警告が…

新たなフェーズだった電話催促

 今年は貧困の新たなフェーズとして督促の電話との冷戦に突入した。冷戦と言っても、僕が勝手に電話に出なかっただけなので、カード会社の猛攻をいなしていることになる。渋川剛気だ。  電話番号を無限に生み出して毎回初めましての顔でかけてくるレイクからの度重なる猛攻を避け続け、簡易裁判所までもつれこんだ。ただ、僕は多重債務者なので、敵はレイクだけではない。アコム、アイフル、プロミス、みずほ銀行、UFJ銀行、Amazonカード、楽天、セブンカード、そして僕を信じて金を貸してしまった友人たち。最初はみんな笑顔で金を貸してくれたが、もう敵だ。あの頃には戻れない。金の貸し借りは人をおかしくしてしまう。彼らの笑顔を取り戻せるのは…そう、僕だけだ。  電話が鳴る度に彼らの顔が走馬灯のように脳裏を流れる。同じ映像を何度も繰り返してテープが擦り切れているのか、最近ではだいぶ色が薄くなって見えなくなってしまっているが……。

12月は電話の数も増える

 12月をピークとして電話の数は増えていき、20日には一日7件の不在着信があった。その中には簡易裁判所や弁護士事務所も含まれる。彼らは敵、敵、敵だ。  12月の27日を迎え、毎日振動していた電話が鳴り止んだ。カード会社も流石に年末は休むのだろう。僕の勝ちだ。  余裕を持った僕は、コロナでどうせ外出できない年末年始を家で過ごしながら彼らに思いを馳せる。よくよく考えてみると、催促の電話の時に僕のように出なかったり、うっかり出たら大人しく言い訳をする人間ばかりではないだろう。怒鳴ったり、理不尽に逆ギレをする人間もいるはずだ。アコムやレイクも会社だ。電話をする方もきっと金を回収するためではなく仕事としてかけているだろう。かわいそうに。  そう考えると、僕にかけても絶対に出ないから、社会不適合のダメ人間に電話をかける「嫌な仕事」のうち、僕にかけている瞬間は束の間の休息になっているのではないだろうか。道理でコール音が長いはずだ。7コールくらいかかってくる。みんな次々と電話をかける中で、僕の電話番号だけが静寂のオアシスと化しているのかもしれない。  救いたい。コールセンターでいやいや電話をかける彼らを。  僕に、何ができるのだろうか。  答えはもうわかっている。このまま出ないか、出る時は、 「お金、用意できたんで払いますよ」 この一言だ。この一言で彼らはきっとノルマを達成して多少救われる。2021年の抱負は決まった。多重債務者に電話をかけてくる全てのコールセンターで働く人を救いたい。
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