お金

借金返せの電話が止まった正月、年賀状には「電気を止めます」の警告が…

社会が回り始めるのは1月4日

 決意を新たにしたところで年が明けた。去年の元旦は風が強かったのに対して、今年の夜明けは混沌とした1年を慰めるかのように穏やかだった。  催促の電話が来ない限り、多重債務者の心は安定している。今年は頑張って働いた。たった数日の快楽のためにかけた迷惑を数年かけて精算するために。誰からも褒められない頑張りを自分だけはささやかに褒めてあげる。僕は頑張った。12月に至っては、毎日15時間働いた。寝てる暇があれば働けとよく言われるが、少なくとも飯を食う時間はほとんど働いた。  1月4日。朝からアコムからの電話があった。  そうか、社会は今日から回り始めるのか……。  こうして正月の終わりを知る。

今年を占うためにパチンコへ

 50万なんて金はまだまだ用意できていなかったから手元の2万円を持ってパチンコ屋に行った。2020年はギャンブルの運がとことんツイていなかったが、2021年はわからない。これが今年の「おみくじ」だ。  結果は大凶だった。これも折り込み済み。おみくじなんかで1年は決まらない。人を変えるのは努力だけだ。だけど5,000円でやめればよかった。半年近く自分の金でギャンブルをしていなかったのに、思わず気が緩んでしまった。  意気消沈して家に帰ると、 「1月11日までに1万円払わないと電気を止めます」 という内容の年賀状が入っていた。地元の友達と年賀状を送り合わなくなって何年経っただろう。 送電停止のお知らせ “パイレーツオブダイナマイトキング”。これは僕が2021年で二度と触ることのない台だ。  握り締めた財布は、空だったからいつもより小さく潰れていた。(文/犬)
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩
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