大企業出身の中年転職者が嫌われるワケ…「役員待遇で採用」の悲惨な末路
―[プロ経営者・中沢光昭]―
「ぜひ、弊社に役員待遇で来てください!」
会社員であれば誰しも喜ぶような一言かもしれません。ましてや、大企業でそこそこのところまで出世したものの、それ以上の昇進はないだろうなと半ば諦めていたミドル層やトップ層の一段下のアッパー層の人が、取引先や知人、人材エージェントから紹介された会社から言われたら捲土重来がやってきた感覚で、心が躍るでしょう。
ましてや今のタイミングですと、コロナ禍で自社の市場や自社自体の将来が見えない状況。大企業のミドル層やアッパー層のサラリーマンは「いまが最後のチャンスかもしれない」と考える人もいるのかと思います。
ところが、そこには大きな落とし穴があり、本人は「こんなの詐欺だ!」みたいに騒いでも周りは何も同情してくれないような悲惨な事態に陥りかねないリスクがあります。
意気揚々と役員待遇や社長として転職・着任することが決まると、周りは羨ましいといわれ、本人も恍惚の表情を浮かべる毎日です。
ところが実際に入社して1か月も経ってくると、本人はまったく自覚なくとも、新しい会社で仕事を一緒に始めた一部の人たちを中心にザワめいた空気がじわじわと出してくるのがありがちなパターンです。
いわゆる「メッキがはがれる」という状態が始まります。
感覚が思い出せないどころか、やったことがない
大企業の看板がなければ無価値な存在
株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある
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