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コロナで消えた「サラリーマンの特権」ほぼ遊びの出張、曖昧な残業代…

 経営コンサルタントの中沢光昭です。企業再生をメインとしたコンサルティングを行う傍ら、経営の視点から働き方や組織論、最新のリストラ事情などについて情報発信を続けています。  ただし、コンサルタントといっても私は大上段に構えて偉そうなことを言うだけのタイプではなく、必要に応じて自分で何十万行のエクセルデータも見たり伝票を1枚1枚めくったりするタイプです。伝票には時折、サラリーマンの情念が垣間見えますので、SPA!でのネタが貯まることになります。

出張は今後、「選ばれしエリートのみ特権」になる

出張

※画像はイメージです(以下同)

 さて、コロナウイルス感染者数は減らないどころか過去最悪の数字を更新しているにもかかわらず、強引に「日常」が戻ってきています。  コロナショックの第1波が数多の人の職を奪った一方で、「準上級国民」のような恵まれた会社員にはほぼノーダメージでした。しかし、第2波を警戒しながらの「日常」を取り戻していく過程で、恵まれた会社員たちの特権をじわじわと奪われようとしています。  真っ先に失われる特権の筆頭が「出張」です。  出張と縁のない会社員が漠然と思っていた「出張って、実は意味ないのでは? 人件費と経費を考えるとほとんど無駄なのでは?」ということが、皮肉にもコロナショックにより証明されてしまいました。  もちろん、創業者や幹部など意思決定権を持っている人間がどこかに飛んでいって契約を決めてくるというような出張は大変意味があると思います。ただし、ほとんどの人は移動している時間の割合が多く、非効率だとわかっているのになぜか出張をしたがります。  対面の方がコミュニケーションを取りやすいのは当然ですが、それだけではありません。自由時間も多いうえに、日当という古き良き日本の名残である「お小遣い」も出るからです。おじさんは地元のキャバクラか風俗に行き、夜遊びに興味のない人はご当地グルメを楽しみます。  出張の制限が緩い会社だと、マイレージを貯めるのが目的という人もいます。さらには宿泊を「クオカード1000円つきプラン」などで申し込めば、日当とは別に1000円がもらえます。ホテルも心得たもので、常連になりそうな出張客には声をかけ、「直接、電話で申し込んでくれれば、料金を自由設計できますよ」と耳打ちしてくれます。  どういうことか? たとえば、それまで6000円で泊まっていたホテルの宿泊費を1万円という設定にして領収書を発行、差額の4000円は個人のお財布に入ることになります。日当が3000円の会社だったら、実質的に7000円の収益です。  また、公務員の天下りの色合いが強い団体や会社などのおおらかな会社だと宿泊費がいまだに定額精算だったりします。宿泊費として1万2000円が定額支給されているにもかかわらず、3000円の大浴場付きカプセルホテルに泊まって9000円を浮かせる人もいます。  筆者が聞いた実例では、そうして浮いたカネを使って風俗やキャバクラに毎回行くなんて人はかわいいもので、長期出張の地方仕事に自ら名乗りを上げ、会社に内緒で安アパートを借りて「宿泊代」を大幅に圧縮。差益を貯め込み、2年後に外車を現金で買った20代もいました。残念ながらそうした「錬金術」は今後、急速に実現できなくなっていくでしょう。
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「曖昧な昼休憩」も過去の風景に
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