更新日:2022年08月06日 02:19
仕事

大企業出身の中年転職者が嫌われるワケ…「役員待遇で採用」の悲惨な末路

取締役の雇用は保護されない

会議室 役職が低ければまだ指導係・世話係が割り当てられて仕事の進め方や働きぶりについて注意されたり指導されたりして、周りに心配されながらもやり直しに向かいます。  そこから先、変わって結果を出せるかどうかは本人によりますが、汚名返上の機会は何度か訪れます。  しかし、役員待遇で迎えられた当人は前職の感覚が抜けていないので、注意もされていないので何も気づきません。そして、ある日初めて資本主義の基本の「き」、「取締役の雇用は保護されていない」というのを思い知ることになります。  自分が長らくいた大企業では、取締役であっても不祥事などよほどのことをしないと予想外のクビにはならないので、言葉では理解していても肌感覚としてまったく理解していません。

「入社前と話が違う」は通用しない

 以前は中小企業でも自分たちから声をかけて大企業から来てもらった人に対しては、「来ていただいたから」という感覚で遠慮がちに接していましたが、コロナショックにより市場とシビアに戦っている局面であると、遠慮している余裕はありません。 「入社前と話が違う」と訴えかけたところで、「給料に見合う結果が望めないのですから。会社の状況やご自身の評価によって処遇が変わるのは、辛いでしょうが理解してください」としれっと言われてしまいます。  当人は友人たちとご飯を食べながら「クビを匂わせるなんて、中小企業はコンプライアンスがズルズルだからひどい!」と騒いだりもしますが、そういう問題ではなく資本主義社会においては当たり前に起こりうることです。  その当たり前のことを理解していないまま年を重ねたバブル世代の生き残りはまだ依然として存在しています。
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「会社に面倒を見てもらう」という錯覚
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株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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