更新日:2022年08月06日 02:19
仕事

大企業出身の中年転職者が嫌われるワケ…「役員待遇で採用」の悲惨な末路

専門家シンドローム

ミーティング 大企業にいたときのネットワークを中小企業で活用しようと思っても、なかなかうまくいきません。うまくいくことのほうがレアケースです。  外注委託で使っていた広告代理店やコンサルティング会社が大企業に請求している金額は、中小企業相手の場合とは1桁2桁違います。そうした事情もあるため、大企業にいた際に接点があった外部委託者は自分が中小企業に行った場合に相手にしてくれません。  大人の対応として相手にしたとしても提案書に書く金額はそのまま大企業レートです。向こうも道楽でやっているわけではないので、そこは妥協できません。そうなると中小企業としては「え!?」と困惑しながら最初は受け入れるか、「●●さん、それはうちでは払えませんよ」と勇気をもって却下することになります。  受け入れたとしても、ものの数か月で目に見えた結果が出てこない限りは「負担が大きいので」という理由で継続を断ります。

「給料泥棒」と見られるのも時間の問題

 最悪なのが、中小企業といえども経営者なんだという自信のもとに、オーナーや周囲の誰にも特段きちんとした説明などしないまま口約束で発注しているケースです。  あとから発覚した際に、「●●さんが勝手に高額な発注をしていた。そして、そいつらは全然役に立たない。リベートでももらってるのか?」というあらぬ疑いまでかけられてしまいます。疑いならまだマシで、実際にそうしたことをやる人はたくさん見てきましたが……。  気がつけば、雇いたいと声をかけてくれた人や社内の他の面々から見れば「~がないからできない」という言い訳ばかりして何もしない、ただの給料泥棒に見られてしまっています。  リサーチや販促なんて少額の費用で自分自身で早くやってみて、その情報を基に学んでいくのでも十分に貢献する状況は多々あるのですが、「リサーチはコンサルティング会社がやる」「販促は広告代理店がやる」「WEBは制作会社がやる」などの固定観念に取りつかれているのか、心のどこかで「やったことがないので、やってみて何もできないことが判明したら怖い」というのがあるのか、ただ悲しく時間だけが過ぎていくような事例を何度も見たことがあります。
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坂は転がり始めたら止まらない…
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株式会社リヴァイタライゼーション代表。経営コンサルタント。東京大学大学院修了後、投資会社、経営コンサルティング会社で企業再生などに従事したのち、独立。現在も企業再生をメインとした経営コンサルティングを行う。著書に『好景気だからあなたはクビになる!』(扶桑社)などがある

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