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鬼滅主題歌「炎」に影響を与えた天海祐希の言葉

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第239回
歌手

※写真はイメージです

 昨年大ヒットした『鬼滅の刃』で主題歌を担当したLiSA。年末には日本レコード大賞に輝き、2年連続でNHK紅白歌合戦にも出場しました。  彼女はこれまでも『Fate/zero』『ソード・アート・オンライン』など人気アニメの主題歌を担当し、アニメファンの間では名の知れた存在でした。そんな彼女でもテレビ出演は難しく、「何度ノックをしたとしても、なかなかドアが開きづらかった」と雑誌『NYLON JAPAN』で答えています。アニメソングでレコ大と紅白に出場したのは大きな快挙です。  彼女はただ提供された楽曲を歌うだけでなく、作詞も担当しています。無限列車編の主題歌『炎』では、「大人になるほど増えていく/もう何一つだって失いたくない」という歌詞を綴りました。

名曲の裏に天海祐希の存在

 この歌詞が生まれるきっかけになったのが、女優の天海祐希です。LiSAがベストアルバムを出した際、天海祐希は「重ねていくということは、一人の女性として孤独を背負うということですけど、孤独でもその孤独をぜひ楽しんでください」「大人になっていくというのは、できることも増えていくけど、できないことも増えていくから、自分で選択して、捨てていくもの、選んでいくものを選択していきていかなくちゃいけない」というメッセージを彼女に送りました。  このメッセージを受け取ったLiSAは、「何もなくしたくないのに、なくなってしまうからこそ、自分で選ばなくちゃいけないんだ」と考え、「すごく悲しくなった」と言います。その悲しみを歌詞にしたのが、「大人になるほど増えていく/もう何一つだって失いたくない」という「炎」の歌詞です。  人間が何かを成し遂げる時は、信念の力が働いています。その信念の源になるのは、人間関係です。誰かに心を揺さぶられて、何かを連想すると、その連想が自分の信念になります。  ベストアルバムを出したLiSAは30歳を目前にして、結婚や子供について悩んでいました。現在の社会において、仕事を選ぶのか、結婚出産を選ぶのかは、女性にとって大きな選択です。それが流行り廃りの激しいアーティストという職業であればなおさらです。

誰かの言葉が人生のヒントに

 天海祐希は生涯独身を宣言し、オリコンの『女性が選ぶイイ女ランキング』で4連覇しています。女優と歌手の違いはありますが、同じクリエイティブな仕事で活躍する天海祐希の言葉は、LiSAにとって「救ってくれるような」と表現するほど大きな励みになりました。  悩みは必ずしも解決できるとは限りません。「仕事」と「結婚出産」の選択もその一つです。両立できれば理想的かもしれませんが、現実的にはどちらか一方を選択しなければならない場面があります。そうした悩みを抱えた時に、誰かとその悩みを共有すると心が軽くなります。悩みには解決ではなく、解消という手段があるのです。「硬派」を自称するLiSAにとって、天海祐希は良き先達になっています。  信念を持つには、「テーマを決める」「ヒントを集める」「エピソードを思い出す」「フレーズを作る」「アウトプットで確かめる」という5つのステップがあります。私はこの仕組みを「マインドレコーディング」と呼んでいます。  彼女の場合、「『炎』の歌詞」がテーマになっています。そのテーマについて、物語のキャラクターたちが抱える悲しみと、その悲しみを乗り越えるつらさに着目しています。そして、その悲しみを乗り越えるつらさについて、自分が抱えた悩みや天海祐希からもらったアドバイスを振り返り、「もう何一つだって失いたくない」という歌詞を心から浮かび上がらせています。
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悲しみも信念に変わる
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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