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『進撃の巨人』エレンが調査兵団に入った2つの理由

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第236回 冒険『進撃の巨人』は人類と巨人の闘争を描いた作品です。主人公のエレンは「調査兵団」という組織に入り、安全圏である壁の外に出て、巨人たちと戦います。  エレンは自分の母親を巨人に殺されています。そのことに対する復讐心から、「一匹残らず駆逐してやる」と考え、それが彼の信念になりました。この信念が巨人と戦う理由になっています。

復讐だけが目的ではない

 ただ、彼は母親を殺される以前から、もともと調査兵団に入りたいと考えていました。生前の母親に「なぜ危険な壁の外に出たがるのか?」と聞かれて、「外の世界がどうなっているのか、何も知らずに一生壁の中で過ごすなんて嫌だ」と答えています。  そう考えるようになったきっかけは、友人のアルミンです。アルミンは祖父が隠し持っていた外の世界に関する書物を見つけ、その内容をエレンに熱心に語りました。この時のアルミンの情熱に魅せられて、エレンは外の世界に憧れるようになったのです。  何かを成し遂げたり、習慣や性格を変えたりするには信念が必要です。そして、信念は「テーマ」「エピソード」「フレーズ」の3つで出来ています。 <信念の3要素> 1.テーマ(取り組むべき課題) 2.エピソード(心を揺さぶられた体験) 3.フレーズ(体験について考えたこと)  エレンの場合、テーマになっているのは「冒険」です。このテーマについて、アルミンが外の世界にあると語った「炎の水、氷の大地、砂の雪原」は二人の合言葉であり、それが信念になっています。 「冒険」は人生にとって重要なテーマです。冒険には一緒に旅する仲間が必ずいます。ただ遊ぶだけの関係だった友人が、同じ目標を追いかける仲間になった時、お互いの人生は変わり始めます。「日常を離れた冒険」と「友人から昇格した仲間」は切っても切り離せない関係にあります。

仲間と一緒に冒険に出よう

 母親を殺されたことで芽生えた巨人に対する復讐心と、友人が熱心に語った外の世界に対する冒険心。エレンにとって「調査兵団」はその二つを満たす環境です。だからこそ、彼はそこに入るための努力を惜しまなかったのです。  人間は「頑張ればうまくいく」という根性論だけでも、「こうすればうまくいく」という方法論だけでも、うまくいきません。なぜならあらゆるチャレンジは「うまくいかないこと」の連続だからです。その困難を乗り越えさせてくれるのが、「結果がどうであろうと自分はこれをやるんだ」という信念です。  信念を持つには、自分が決めたテーマについて日頃から情報を集める必要があります。また、ただ信念を持つだけでなく、それを誰かに話して、自覚を高めることも大切です。信念の3要素に、このヒントとアウトプットを加えた5ステップを私は「マインドレコーディング」と読んでいます。 〈マインドレコーディングの5ステップ〉 1.テーマを決める 2.ヒントを集める 3.エピソードを振り返る 4.フレーズを作る 5.アウトプットで確かめる  エレンの場合、信念に気づく機会が向こうからやってきます。訓練を終えて調査兵団に入団した直後、エレンたちの住む街が巨人に襲われて、アルミンが丸呑みにされました。この時、エレンはすでに片足を失っていたにも関わらず、彼を助けるために巨人の口内に飛び込みました。  アルミンを助け出す代わりに自分が口内に残ったエレンは、「こんなところで死ねるか。なあアルミン、お前が、お前が教えてくれたから、オレは外の世界に」と呟きます。信念はこうして自分で確かめるたびに強くなります。  エレンがそうであるように信念を自覚する一番の機会は、困難に直面した瞬間です。自分の当てが外れて、何の方策も思い浮かばず、「もう駄目だ」と追い込まれた時、そこでやめてしまうのか、「それでもなお」と続けようとするのか。私たちは自分の信念を確かめることになります。信念を試されるような困難は、信念を強くするチャンスでもあるのです。
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日常でも冒険はできる
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コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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