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スポーツアナウンサーはアスリート並みの能力が必要

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第241回
アナウンサー

※写真はイメージです

 スポーツアナウンサーの下田恒幸は、スポーツ総合サイト『スポーツナビ』が実施した『ファンが選ぶ!好きな実況&解説者ランキング サッカー実況アナ編』で1位になりました。また、Jリーグの公式ツイッターがアップした下田の絶叫シーン集は、3000リツイート9000いいねがつく人気動画になっています。  下田の実況で有名なのが、2019年8月のJ1サガン鳥栖対ヴィッセル神戸戦で田中順也選手がゴールを決めた時の「田中順也の左足」です。この実況について、下田は「瞬間の描写を極力分かりやすい言葉で表現しようと思っている」と『週刊エコノミスト』のインタビューで答えています。

実況アナもアスリート

 この「瞬間的に言葉にする実況」のきっかけになっているのが、局アナ時代の先輩です。その先輩は「目で見たことが脳を通さずに口から出てくる感性がないと一流のスポーツ実況アナになれない」と下田に言いました。このことについて、下田は「そういう能力はやはり必要で、実況アナはアスリートだと思っている」と振り返っています。  人間が何かを成し遂げる時は、信念の力が働いています。その信念の源になるのは人間関係です。誰かに心を揺さぶられて何かを連想すると、その連想が自分の信念になります。下田の場合、先輩の助言について考えた「実況アナはアスリート」が信念になっています。  下田は現在、日本のJリーグ、イギリスのプレミアリーグ、ドイツのブンデスリーガという三つのリーグの実況を任されていて、実況数は年間200試合前後になると言います。しかも、「会社にいれば管理職になったりして、しゃべる場が減ることも多い」と考えて局アナからフリーに転向して、その環境に自分から飛び込みました。ハードな環境に身を置こうとする姿勢はまさしくアスリートです。  実況に対する姿勢について、下田は「求道者感やストイックさが気持ち悪いとよく言われる」と苦笑まじりに答えています。しかし、その姿勢が「瞬間的に言葉にする能力」を支えているのは間違いありません。

あらゆるプロの仕事には信念がある

 信念を持つには、「テーマを決める」「ヒントを集める」「エピソードを思い出す」「フレーズを作る」「アウトプットで確かめる」という5つのステップがあります。この5ステップを私は『マインドレコーディング』と呼んでいます。  下田の場合、テーマになっているのは「実況の追求」です。このテーマについて「先輩の助言」という体験から、「実況アナはアスリート」と考えました。そして、それをインタビューという形でそれを確かめているのです。 「素直に教わる」というのは簡単ではありません。特に若い頃は目上の人間に反発しがちです。しかし、「確かに一理あるな」と感じた助言は振り返ってみる価値があります。その助言について考えたことが自分の信念になり、粘り強く取り組む原動力になってくれるからです。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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人はなぜ続けることができないのか? 続けるには「信念」が必要だ!

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