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『呪術廻戦』伏黒恵はなぜ虎杖悠仁を見殺しにしなかったのか?

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第240回
助ける

※写真はイメージです

なぜ仕事に私情を挟んだのか?

 漫画『呪術廻戦』に登場する呪術師の伏黒恵は、第2話で虎杖悠仁の助命を嘆願しました。虎杖は「両面宿儺の指」という呪物を取り込んだことで、強力な呪霊に身体を乗っ取られる恐れがあります。その危険性から本来ならば処刑対象でしたが、伏黒は「でも死なせくない」と訴えました。  伏黒は自分の判断を「私情だ」と認識しています。「仕事に私情を挟まない」という考えは当たり前になっている社会通念の一つです。その社会通念に逆らって行動するにはそれ相応の理由がいります。その理由になっているのが、義姉である伏黒津美紀です。  津美紀は正体不明の呪いの影響で昏睡状態に陥っています。伏黒は津美紀のことを「疑う余地のない善人」だと評価していました。そんな津美紀が呪いに倒れるという理不尽を被ったことで、伏黒は「不平等な現実のみが与えられている」「因果応報は全自動ではない」「少しでも多くの善人が平等を享受できる様に、俺は不平等に人を助ける」と考えるようになりました。  伏黒は虎杖に「危険だとしてもオマエの様な善人が死ぬのを見たくなかった」と話しています。つまり、目の前の虎杖に、呪いから助けられないままでいる義姉を重ねたことで、「この人を助けたい」と考えたということです。

信念の源泉は人間関係

 人間が何かを成し遂げる時は、信念の力が働いています。その信念の源になるのは人間関係です。誰かに心を揺さぶられて何かを連想すると、その連想が自分の信念になります。  伏黒の父親は身勝手な人物でした。伏黒が小学一年生の時に、津美紀の母親と再婚しましたが、そのあとすぐに姉弟を置いて夫婦揃って失踪します。そんな父親のことを面白く思うはずもなく、中学時代の伏黒は荒れていました。  ふてくされて生きていた伏黒にとって、品行方正に生きる津美紀は煩わしい存在でした。しかし、その津美紀が呪いで昏睡した時に、その認識は一変します。喧嘩っ早い自分を諌めてくれたのは、自分のことを心配していたからだったと気づいたのです。「相手を選んで助ける」という伏黒の信念は、「相手を選んで心配する」という津美紀の振る舞いをお手本にしています。  信念に基づいて行動する時は、その信念に影響を与えた人物の面影が心に浮かんできます。「危険だとしてもオマエの様な善人が死ぬのを見たくなかった」と伏黒が虎杖に話すコマには、「ヒマワリに囲まれてたたずむ津美紀」という伏黒の心象風景が描かれています。漫画でよく使われるこの表現は、信念が単なる観念ではなく、特定の人間関係に根ざしていることを意味しています。
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