更新日:2021年02月09日 17:49
仕事

コロナ禍に前年比3倍を売り上げたアパレルブランドの秘密

いまの仕事楽しい?……ビジネスだけで成功しても不満が残る。自己啓発を延々と学ぶだけでは現実が変わらない。自分も満足して他人にも喜ばれる仕事をつくる「魂が燃えるメモ」とは何か? そのヒントをつづる連載第242回
社長

※写真はイメージです。

 昨年渋谷にオープンしたミヤシタパークに店舗を持つアパレルブランドCLOUDY。CLOUDYはコロナ禍によってアパレル消費が激減する状況で、売上高を前年比3倍に伸ばしました。  CLOUDYのアイテムはアフリカ伝統の生地キテンゲや民族衣装カンガが使われているだけでなく、アフリカ・ガーナの現地人によって製造されています。環境問題や労働問題や社会問題に配慮した、いわゆるエシカルファッションです。

エリート証券マンが考えたこと

 CLOUDYを運営する株式会社『DOYA』の銅冶勇人社長は、アフリカの教育支援を目的にしたNPO法人『Doooooooo』の代表でもあります。銅冶社長はゴールドマン・サックス証券に勤めている時にこのNPO法人を設立しましたが、「教育の機会を提供しても、収入を得られないと生活は良くならない」と気づき、雇用創出のためにCLOUDYを立ち上げました。  こうした銅冶社長のアフリカ支援のきっかけになったのが、アフリカ・ケニアにあるスラム街キベラで暮らす人々です。キベラは下水道が普及しておらず、糞尿をビニール袋に入れて屋外に投げ捨てる劣悪な衛生環境が問題になっています。また、空腹を紛らわすために幻覚作用のある工場の接着剤を吸い込むせいで、平均寿命が30歳とも言われています。  銅冶社長は大学の卒業旅行でこのキベラを訪れ、「この人たちのために一生をかけて何かやろう」と考えました。それが形になっていったのが、ゴールドマン・サックス時代に始めたNPO法人「Doooooooo」であり、ゴールドマン・サックスを退社して始めた株式会社DOYAとアパレルブランドCLOUDYです。 「頑張ればうまくいく」という根性論でもなければ、「こうすればうまくいく」という方法論でもない、人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論が人間には必要です。この信念論のパターンを覚えれば覚えるほど、自分の信念も自覚できるようになります。

やりがいのある仕事とは?

 銅冶社長にとってアフリカの人々は、「手を差し伸べたい相手」でした。2017年2月28日のハフポストの取材で、銅冶社長は「彼らの手に触れたとき、手相やしわ、厚みから、『すごく苦労しながら一生懸命生きているんだ』ということが伝わってきたんです」とキベラでの体験を振り返っています。このように信念のきっかけとなる体験は、相手の言葉や行動から影響を受けるだけでなく、「表情」や「手の感触」から強い印象を受けています。  社会的弱者はアフリカの人々に限りません。その一方で、一人の人間がすべての社会的弱者を助けるのは不可能です。また、同じ取材で、銅冶社長は「自分を育ててくれたゴールドマン・サックスを退職することには迷いもありました」とも話しています。私たちは金銭的にも時間的にも限界があり、必ず選択を迫られます。  その選択において、銅冶社長は自分の体験を通して、アフリカの人々と向き合う決断をしています。このように人間関係に根ざした「だから自分はこれをやるんだ」という信念論は、決まり切った正解のない選択における判断材料になります。  銅冶社長が卒業旅行でキベラを訪れたのが2008年。ゴールドマン・サックス証券に勤めながらNPO法人を設立したのが2010年。株式会社DOYA設立し、アパレルブランド『CLOUDY』をスタートしたのが2015年です。信念は年単位の時間をかけて、ゆっくりと形になっていきます。それが「長続き」「習慣化」「粘り強さ」「初志貫徹」の正体です。やりがいのある仕事は、「自分が手を差し伸べたくなった相手」との関係にあります。 佐々木
コーチャー。自己啓発とビジネスを結びつける階層性コーチングを提唱。カイロプラクティック治療院のオーナー、中古車販売店の専務、障害者スポーツ「ボッチャ」の事務局長、心臓外科の部長など、さまざまな業種にクライアントを持つ。現在はコーチング業の傍ら、オンラインサロンを運営中。ブログ「星を辿る」。著書『人生を変えるマインドレコーディング』(扶桑社)が発売中

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