山口百恵は、なぜ若い世代にも響くのか。引退コンサートが好視聴率
1月30日(土)に放送された『伝説のコンサート“山口百恵 1980.10.5 日本武道館”』(NHK総合、午後3:35-5:58)が、大変な反響を呼んでいます。ツイッターのトレンドランキングでは「山口百恵」が世界1位となり、当時21歳とは思えぬ大人びた雰囲気や風格に驚く声が相次ぎました。
世帯平均視聴率は8.6%、テレビをつけていた世帯の21.9%が視聴(関東地区、ビデオリサーチ調べ)と高い数字をマークしたのでした。
1972年にオーディション番組『スター誕生!』で準優勝したのをきっかけに、芸能界デビューを果たした山口百恵。翌73年に出演した映画『としごろ』と同名曲で歌手活動もスタートさせました。
その後、74年の「ひと夏の経験」が44.6万枚の大ヒットを記録。以後「横須賀ストーリー」(76年 66万枚)、「イミテイション・ゴールド」(77年 48.4万枚)、「秋桜」(77年 46万枚)、「プレイバックPart2」(78年 50.8万枚)と、ヒットを連発し、地位を確立しました。なかでも、代表曲の「いい日旅立ち」(78年 53.6万枚)は、音楽の教科書に載るほど。まさに昭和を代表する歌手でした。
さて、今回の放送では、改めて彼女の歌唱力を絶賛する声が多く聞かれました。生バンド演奏の生歌で、あそこまで安定しているのは凄い、と。確かに、昨今のエンタメ事情からすると、にわかには信じがたいクオリティかもしれませんね。
しかし、同時に山口百恵にはそうした褒め言葉を、簡単には使わせてもらえない雰囲気があります。最近、“プロの声楽家が選ぶ本当に歌のうまい歌手”みたいな記事をよく見かけますよね? もちろん、プロである以上、下手より上手いほうがいいに決まっているのですが、山口百恵の“うまい”は、それとはちょっと違う。もっとスケールの大きな話なのではないでしょうか。
言うなれば、山口百恵のうたう歌は“よい”。この単純極まりない実感を与えられるからスターなのですね。彼女が歌うと、曲、演奏、衣装、メイクも含めた表現の全てがよくなる。単にボーカリストとして秀逸なのではなく、周囲によい影響を及ぼしていく。歌がひとつのパーツに過ぎないからこそ、音楽とともに輝く。
そうした位の高さが、41年経ったいまも、鮮烈な印象を残すひとつの要因なのだと思います。
とはいえ、残念ながら40代以下はリアルタイムで全盛期を経験していない世代。今回映像で見て、新鮮には感じても、どこがすごかったのかピンとこない人もいるのでは?
そこで、“歌手、山口百恵”にクローズアップして、今の時代にも通じる魅力について考えたいと思います。
若い世代からも絶賛の声が
山口百恵の歌は“うまい”というより、“よい”
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