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「ジャパニーズウイスキーの定義」が4月1日から明確に。今ごろなぜ?

ついに決まったジャパニーズウイスキーの定義

 では、待ちに待ったウイスキーの新基準の内容ですが、まずジャパニーズウイスキーの原材料は麦芽、穀類、日本国内で採水された水に限ります。そして、麦芽は必ず使用しなければなりません。糖化、発酵、蒸留といった製造は日本国内の蒸留所で行う必要があります。蒸留した時のアルコール度数は95度未満とします。  貯蔵は700リットル以下の木樽に詰めて、3年以上日本国内において貯蔵しなければなりません。瓶詰めも日本国内で行い、その際のアルコール度数は40度以上必要です。その他として、色調の微調整のためのカラメルの使用は認める、とされています。  ジャパニーズウイスキーは、「ジャパニーズ」と「ウイスキー」を続けて書く必要があり、間に何か別の単語を入れることはできません。さらに、紛らわしい表示も禁止します。日本を想起させる人名や国旗、元号、都市名、山岳名などもNGです。  この基準は2021年4月1日から施行されます。いきなり言われてもメーカーは困るので、すでに販売していた商品は基準をクリアしていなくても、ジャパニーズウイスキーおよび準じる名称を表示していても、2024年3月31日まではOKとしています。  ちなみに、この4月1日は「ジャパニーズウイスキーの日」に制定されました。ウイスキー文化研究所が2月に発表したもので、日本初の本格国産ウイスキー「サントリー白札」が1929年4月1日に発売された日にちなんでいます。  筆者としては大賛成の内容ですが、ぐだぐだの状態からいきなり厳しい基準にしたな、と感じました。アルコール度数も税額が安い37度未満を含ませようとしなかったのは拍手喝采です。スコッチと同じ3年熟成も、暖かい日本ではちょっと厳しいのですが、クオリティは上がるのでウェルカムではあります。もちろん、この内容であれば、世界に胸を張ってジャパニーズウイスキーと言えるのでうれしいことには間違いありません。

ジャパニーズウイスキーの基準を満たしている商品は?

 さて、気になるのが現在発売されている商品のうち、何がジャパニーズウイスキーなのか、ということでしょう。アサヒビールのウェブサイトでは、製品ごとに「日本洋酒酒造組合の定めるジャパニーズウイスキーの表示基準に合致した商品です」や「当商品には、一部輸入原酒を使用しています」と表示しており、流石です。「余市」「宮城峡」「竹鶴」「ニッカ カフェグレーン」などがジャパニーズウイスキーの基準をクリアしており、一安心です。ぜひ、ほかのメーカーもアサヒビールのようにわかりやすく明記して欲しいところです。
アサヒビール

アサヒビールは、自社商品についてジャパニーズウイスキーの基準に合致しているかどうかわかりやすく表示してくれています

アサヒビール

輸入原酒を使用しているお酒の場合はこんな感じです

 海外にまでジャパニーズウイスキーの定義が浸透するには何年もかかるかもしれません。それでもウイスキーラバーが待ちに待ったジャパニーズウイスキーの基準は大歓迎です。  国産ウイスキーの価格は値上がり傾向にありますが、応援がてら、次の家飲みの1本はジャパニーズウイスキーにしてみてはいかがでしょうか。<文/柳谷智宣>
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「リカーライブラリー」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる
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